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第三回 本物川小説大賞 カクヨム入植大会 大賞はくすり。さんの「コンチェルト」に決定!

本物川小説大賞

 

 新小説投稿サイト カクヨムのオープンにあわせて、平成28年3月ころから4月15日までの約1か月半にわたって開催されました第三回本物川小説大賞カクヨム植大会は、選考の結果、大賞一本、金賞一本、銀賞二本が以下のように決定しましたのでご報告いたします。

 

 大賞 くすり。「コンチェルト

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くすり。 (@ksrsrsr) | Twitter

 

 受賞者のコメント

 名誉ある本物川大賞をいただくことができて大変嬉しいです!これからも大澤めぐみをキュン師と仰ぎつつ、グレートかわいい小説を書いていきたいと思います!本当にありがとうございました!!

 

 大賞を受賞したくすり。さんには、副賞として本物川の描いたイラストが授与されます。好きに使ってもらっていいんで勝手に出版して下さい。

 

 金賞 左安倍虎 「易水悲歌

 

 銀賞 ロッキン神経痛 「限界集落 オブ・ザ・デッド

 銀賞 起爆装置 「恋人同士な僕たち

 

 というわけで春の素人黒歴史小説甲子園 第三回本物川小説大賞、陰湿な大激戦を制したのはくすり。さんの「コンチェルト」でした。おめでとうございます!

 

 以下、闇の評議会による講評と大賞の選考過程のログです。

 

 全作品講評

 

 みなさん、こんにちは。素人黒歴史KUSO創作甲子園、本物川小説大賞も第三回となりました。闇の評議会、議長は前回に引き続き、わたくし謎の概念が担当させていただきます。また、評議員は前回から引き続き謎のねこさんと、もう一名は新たに謎の相槌さんを迎えまして、合計三名の評議員の合議により大賞を決定していこうと思います。

 謎の相槌です。
 謎のねこです。

 それぞれ得意とするジャンルや好みの異なる三名による合議ですから、それなりに中立性、公平性は確保できるのではないかと思います。なにしろ元手ゼロの素人KUSO創作大賞ですから、現実的に、これ以上の公平性の担保は実現が難しいところがありますので、まあ色々あるかもしれませんがひとつご了承いただきたいということで。よろしくお願いします。

 よろしくお願いします。

 よろしくお願いします。

  さて、それではひとまずエントリー作品を概ね投稿された時系列順に一通り紹介していこうと思います。


 まずは不二式さんの狼少女と羊のプリンス。飢えた少女たちの花園、超能力者女学園へ無理矢理転入させられた石油王の女装美少年を中心としたドタバタラブコメディてきな掌編です。5000字未満というコンパクトなボリュームですが、テンプレ展開や桃色や青色の髪などのアニメ的なインスタント描き分けを上手に使って、少ない文字数の中でそれなりに各キャラを描き分けて起承転結をつけているのはなかなかテクニカルですね。ひとむかし前はよく見られた16p読み切り漫画みたいな感じ。

 気軽に読める作品、と言ってしまうと語弊があるかもしれませんが、気軽に読めるようリアリティ・ラインを巧みに設定・提示するというのは、これは意外となかなかできることではないのではなかろうかと思いました。今作『狼少女と羊のプリンス』では、冒頭でえがかれる主要人物のさまざまなヘアカラーに代表される容姿ですとか中盤以降で明かされる転校生の正体などにより、よい意味でマンガ的な世界が提示されて、書かれたことをありのまま楽しむ態度を読み手に取らせるような導入・展開がなされていて、そこがすごい。

 超能力があることで、話がサクサク進みます。しかも石油王だから無条件で女の子にモテる。実に話が早い。こまけぇこたぁいいんだよの精神です。描写も冗長過ぎず適切で、読みやすく、さらりと最後まで読めてしまいます。ただ、ラストはちょっとありきたり過ぎるのでは? オチにもうひとひねりあれば、ワンランク上が狙える作品だと思います。


 つぎは、まくるめさんのジャガファン ジャガイモ以外全部全滅。昨今の異世界転生ブームに一石を投じる意欲作。なのかな? ただ単に好きで書いてるだけな気もします。どこかで見たような聞いたようなテンプレ場面が次々と出てきますが、徹底的に主人公に都合良くはいかず斜め上の展開になり、でも一周回って結局ラッキースケベ! みたいな感じ。ただ昨今の異世界転生モノに不満を垂れるのではなく、それを実際に異世界転生モノという枠組みの中でやってしまって作品でツッコミを入れていく、そのうえ面白いのだからかっこいいですね。文句があるなら自分で書いたほうが話が早いの好例。まだ序盤でジャガイモの謎も明らかになっていないので、これからの展開に期待したいところ。

 永らく差別されてきた種族柄なにかにつけ「差別か?」と詰めるコボルトの召喚士ですとか、学者さんのウッドエルフが解剖時に勢いよく出る血をたぶん瀟洒な公園にある噴水とたとえたりするところですとか、各人各種族の価値観がなかなか面白いなあと思いました。着眼点に感心することしきりで、どつきあい漫才のなかで種族間の寿命の違いにより旧支配種族と元奴隷種族とであることなどが会話の中で出てきたりと、こうしたコミュニティや種族間のギャップがクローズアップされたりするのでしょうか。続きが気になりますね。

 異世界転生ものにソフトエロを加えたコメディ。ひたすらくだらない与太話みたいなものが続いていくのですが、そこがこの作者の強みなのでしょう、一つひとつの話が笑えるものになっており、するすると読み進めていくことができます。しかしながら、展開の遅さはかなり気になるところ。8万文字でまだまだ序盤も序盤、話の全体像はまるで見えていません。Webの異世界転生ものはこういうものなのかもしれませんが、個人的にはもっと展開がほしいと感じました。


 第一回本物川小説大賞、大賞受賞者のDRたぬき遺伝子ファッショナブル。遺伝子操作が誰でも安価で手軽にできて当たり前になった未来の話。受賞経験者だけあって、さすがに安定した文章力と描写力、なにより連載は現在二章の後半で総文字数が12万字超えと、素人KUSO創作に一番大事な安定して書き続けられる体力が素晴らしい。次は見せ方というか、話の構成力を身につけていってもらいたいところ。本作も「遺伝子操作がカジュアルにファッション感覚になった未来のお話ですよ」というのを冒頭の地の文でまず説明してしまっているので、しょっぱなから掴んでいく求心力などの面ではちょっと弱いかなという気がします。たとえばですが、まず何の説明もなしに一章最後の戦闘シーンから始まり、そこから冒頭に戻って世界設定説明、みたいな感じで多少構成をいじるだけでもかなり見え方が変わってくるのではないかなと思います。

 一話一話、アクションだったり初々しい青春模様だったりが盛り込まれてボリュームがあります。町の何気ない一風景を拾い上げて、それがしっかり世界観をひろげたりドラマを前進させたりする小道具になっているところは、『感傷的な季節の日々』での経験が活きているように思われますし、獣の特性や職種を活かしたアクションは、色々なメカや武器の登場する『True/False』のバリエーション豊かな各バトルでも見られた良さです。といえども、一章に限って読むと、各話をまたいで貫くような縦糸が少しよわいのかなというような思いがあります。各バトルはバリエーションがあれど独立しているきらいがあるように思えました。

 かなり長期にわたって連載されている、たぬきくんの作品。それだけに、書かれたのが一年近くさかのぼる第一章は、かなり粗削りな印象が強いようです。一人称で主体となる人物ががめまぐるしく入れ替わる書き方は、夢枕獏が『餓狼伝』で使っている手法で、心理戦でもある格闘シーンを多角的に描くことを可能にするものですが、相当使い方を限定しないと奇妙な印象が出てしまいがち。視点を入れ替える必要性が強くないところでは使わないようにしたほうが、効果がありそうです。

 

 つぎ、ポンチャックマスター後藤さんのばあれすく~声優の生まれ方~ポンチャック文と自ら称する独特のリズムと力強さと、なによりも速力を売りにしているポンマスさんですが、本作はわりと真正面からのちょっとイケてない青春小説のフォーマットを踏襲していて、従来のポンマスさんの芸風に慣れ親しんだ人には逆に意外な感じがあるのではないかと思います。おそらく、自らの経験に根差しているからでしょう。描写にリアルな質感があって、イケてなさやダメっぷりを客観視しながらも、嫌いにはなれない。そんな主人公の愛着や愛情みたいなものにも素直に共感ができます。webで爆発的に大人気! となるタイプではありませんが、いぶし銀の名作。

 傍目のパッケージに反して、扱われる中身は結構に重たく、先行き見えない専門学校生の駄サイクルについて。なかなか大変な話で、とても面白く読めました。ショービジネスのプロ志望者によるお話ということで、自分の表出する場面が要所要所にあり、それが学年初めの自己紹介から印象的なかたちで描かれています。自己紹介シーンは単体でも面白いですが、それが内輪から外へグレードアップするショーをつうじて形を変えつつ登場し、ラストに至るまで一本幹のあるしっかりしたストーリーが構築されているなあと思いました。様々いる個性豊なキャラクタの個性はそのままに、一つの作品を完成させようと協力して歯車が噛み合って大団円へと進みゆく流れはとても感動的です。

 軽快な文章で各所に読者を楽しませる工夫が凝らされている作品です。随所に、いやいやありえないでしょう、でももしかしたらこれって実体験? と思わせるエピソードが盛り込まれています。ただ、特に序盤のストーリー展開が起伏に乏しく、「声優専門学校の生活ってどんなものだろう?」という興味だけで読者の興味を引っ張り続けるのは、いささか厳しいように思います。リアルさと奇妙さの中間で、破天荒な作者の発想が殺されてしまっているように感じました。

 

 つぎもポンマスさん、インタビューインテグラ。大丈夫? コーヒーでも飲む? これぞまさにポンチャック文! これはね、すごいです。とある事件の関係者に順番にインタビューしてまわる、飽くまでそのインタビュー記録である、という体裁なので、作品世界内の彼らにとっては「あの事件」は既知のことであり、読者に対してそれをわざわざ説明することはありません。作品世界内の彼らにとっては誰だって知っている「あの事件」について、読者はインタビューを読み進めることでうかがい知って行くという趣向。しかし、なによりもすごいのは「あちら側」の人たちの台詞まわしの息づかいまで聞こえてきそうなあまりのリアリティでしょう。二人目まで読み進めればガッチリ引き込まれ、三人目で完全にノックアウトされてしまい、ただ文字を読んでいるだけなのにこちらまで変な動悸がしてくるくらいです。惜しむらくは、ミステリーと銘打っているわりには読者がスッキリと「ああそういうことだったのか」と納得できる綺麗な解決編が用意されているわけではないので、カテゴリエラーかな? というところ。サスペンスかな?

 老若男女さまざまな語りが面白かったです。当事者として踏み込むか、踏み込まず外野にいるか……そういうアクションは『ばあれすく』でも特徴的なかたちで出てましたが、こちらは踏み込んだ先が底なしの泥沼なので、何ともひどい事態になっていきます。

 殺人者の周辺の人間に同級生がインタビューして回るという構想は、それ自体刺激的でおもしろいものです。同時に、非常にハードルの高いテーマ設定でもあります。殺人という禁忌に対して、その是非を正面から問いに行くことになるわけですから、作者の倫理観はもちろん、その哲学や、どこまで深く物事を考えられるかといった根本的なことが、如実に表れてしまいます。そうした意味で、この作品は序盤、読者の期待に十二分に答えてくれます。特に3人目の不良は非常によく描けており、真に迫るものがありました。ただ、この一話が際立ってよく描けていたのに対し、ここから先は登場人物がかなり類型化されてきて、現実味が失われているように思えました。森の母親との関係は、プロットとしては成立していると思いますが、この作品の序盤のリアリティを考えると、荒唐無稽な印象が否めません。必ずしも主人公を殺人の因果と絡める必要はなかったようにも思います。作者の力は本物だと思いますので、あまり表面的なエンタメ性を追わず、大きなテーマにガチンコで取り組めば、さらに一回りも二回りもパワーのある作品が書けるように思います。

 


 Bobomind愛の傘下。えっと、読みましたけど、小説大賞なので小説というフォーマットを踏襲してもらいたいと思います。自分語りではなく物語を。

 ツイッターでたまにお見かけするbobomindさんのイメージは、頭部をアルミホイルで守って日々陰謀と戦っている御方で、今作はその劇場版という感があります。140字ではどうしても断片的にならざるをえなかったところが、文字数制限のない長文となったことで緩和されたところがあり、なるほどなあという感じでした。自身について、客観視をまじえた理路だった確認がなされ、時折あるあると頷く素描や、時折なるほどと思う考察や比喩が覗きます。一方で、二三段踏み飛ばしたような「?」となるところも幾らかありますが、書店にならぶものでない文章ならこの程度の飛ばし方はあるだろうというようなものです。

 提示される知識やアイデアの断片は、それぞれがおもしろくなりそうな予感を感じさせるのですが、まだ本編が始まらないような印象です。

 

 しふぉん美少年掌編小説集。蒐集癖は前回の本物川小説大賞で銀賞を受賞した短編。同様のコンセプトを踏襲した短編を集めた短編集というパッケージングで、敗北、パズルのピース、暴君、の三つのエピソードが追加されています。相変わらずの幻想的で耽美な圧倒的筆力。すべてに共通しているのは美しさと力強さを兼ね備えていながらも、常に死や破滅といった雰囲気を纏っているという部分。危ういバランスの上に奇跡的に成立しているものこそ美しさなのだ、みたいな拘りが感じられますね。自分の信じる美しさというものを様々な角度から描いてみようという意気込みが見てとれます。

 お偉い男性が蠱惑的な少年に掌で転がされる話を、キャラや場所や時代を変えてつづっていく連作集です。新作のうち二作は第一作とおなじく現代劇なのにまったく別物に仕上がっており、面白く読めました。『敗北』は、独特の競技の勝敗などの大きなところに変化があるハッキリとした転落劇で、これが一番おもしろく読めました。『パズルのピース』ではそうした大きなところの変化がない中で、小道具によりうまくコントラストを作っています。反芻すると味わいぶかくなるタイプの作品。『暴君』ではそれまでの3作と違い少年側の視点から描かれていて、ハイソサエティな気品がある前3作にたいして『暴君』の彼の"王国"は出会い系SNSをつうじて知り合った人とそこらのラブホテルで作られるもの。これまた幅が出てきたなあと面白く読みました。

 この作者の美少年小説はじつに実用的にできていて、特に「暴君」の少年は魅力的。少年が犯される側でありながら高圧的で、快感を貪欲に求めるタイプのストーリーの場合、最終的に少年が犯す側の男に屈服してしまうことが多いですが、この作者の場合はむしろ犯す側の男を支配してしまうパターンとなっており、好みの問題もありますが、こだわりが感じられ非常に好印象。敗北は、シリーズの中ではややコメディ色の強い作品です。古典調の文体も意外と相性がよく、うまく成立している感じ。ただ、コメディ色の影響もあり、第一作に感じられたような迫力には及ばないようです。今回は短編集での参戦で、第一作ほどの迫力には及ばないものの、安定して高い質を維持しています。次回はぜひ、一作入魂の大作を読みたいと思います。


 左安倍虎弥勒的な彼女。第一回大賞ではよく見られたなつかしの本物川小説フォーマット。川子はヴォル子さん世界の脇役なので本物川小説でもないけれど、なんというか、コメントに困りますね。ツッコミ不在の全員ボケで話が進んでいってしまうので、ポカーン感がちょっとある。ツッコミ役をひとり用意しておくと親切かもしれません。

 題名にもなってる仏教ネタで導入から中盤から幕引きまでしっかり固めて、これはエレガントだったと思います。ヒロインを仏像趣味と設定してノートラップでダイレクトシュート。もともとが誕生日プレゼント小説という私的なものなので、よそから見ると解説が必要だろう謎の教団やらが短編としてはなかなか困りものです。再投稿時にカットして独り立ちさせてしまってもよかったかもしれません。

  懐かしいにおいのする本物川小説です。第一回は本当にこういうのがたくさんあったのです。学校がカルト教団化しているというシチュエーションはなかなかおもしろそうですが、そうした意味では本作は未完成も未完成。掌編としてももう一歩踏み込みがほしいところです。

 

 どこもくん、ホットチョコレート。デデーン(効果音) 死亡確認! まあこら垢BANもやむなしやろなぁといったところ。1BANされてからが本番です。頑張りましょう。

 ちょっとカクヨムの垢BANは闇すぎるんでなんとも言えないアレですが、どこもくんはこれで垢BANのラインを見切ることにより、のちのぴゅっぴゅさんを生み出したと考えると、いわば伝承法でソウルスティールの見切りを受け継がせたレオンみたいなもので、本作の意義は大きいといえますね。

 愛がアップ!(クルクルピコーン!)

 第一回から参加の歴戦のかたですから、これでへこたれることなくBANBAN新作を投稿して下さることでしょう。

 はい、次いきます。


 既読東京ニャクザ興亡禄。猫たちのヤクザ社会を舞台とした極道もの。中身は完全にハードな骨太任侠ストラテジーなのですが、なにしろ猫なのでところどころでクスリと笑わされてしまって、普通だったらシリアス一辺倒になりがちなストーリーを上手にライトに仕上げています。特に一章の終わりの「にゃーん」は秀逸ですね。猫だということをすっかり忘れてストーリーに入れ込みきっているところで冷や水を浴びせかけるようにやっぱり猫。たぶん、意図的なものでしょう。場面描写というのがほとんどなくて、全てが読者の想像力に委ねられているので、読者によって猫たちはリアル猫だったり、じゃりん子チエみたいな二足歩行の猫だったり、犬のホームズみたいにほぼ人型で服まで着ていたりと、描画に幅があるのではないでしょうか。童話などでよくある「北風が太陽に言いました」みたいなやつ。いや、それどういう状況だよ、みたいなの。ついつい自分の想定する場面を説明してしまいがちですが、敢えて説明しない。そのため、結果的にストーリーが物凄いスピードで展開していくことになり、この文字数にしてはかなりの規模の物語を見事に取りまわしています。

 とにかく端的な言葉と物語でぐんぐん展開していき、第一部だけでもとても巨大な時空間を形成していると思います。すでに描いた場面でも別角度から照射し直されたりして物語は複線的。情報提示がまた秀逸で、イタリア系から中国系まで幅広いニャクザ社会を描いて「ああ猫の話なんだな」と読者にフレーミングさせ、バトルについても腕に覚えある猫らのタイマンに始まって中国系の一幕で「相性や奇襲はあれども基本的にはどちらが身体的に優れているか、力比べだな」とフレーミングさせたところで、突如として力比べでどうこうなるものでない事態が引き起こされたりして、巧みなストーリーテリングに転がされっぱなしとなります。猫社会に広がるマタタビ汚染というアイデアを、効用はどんなものか・どういった利用があるか・扱うキャラの流れから何から何までしっかり考えたうえで、バトルや縄張り争いやドラマなど物語の中に様々なかたちで盛り込んでいって、更にどれをどの段階で表にするかといった所まで考えたうえで制御している感があり、なんとも凄い。バトルはキャラの一長一短の特徴やその場の地形効果を活かしたもので単体で面白く、他とあわせて見ると更により凄くなり、その戦いかたにはキャラクタの性格・バックグラウンドなどが乗って来ます。

 まぐろ。

 はい。


 ヒロマル 妖怪彼女~べっぴん毛玉セミロング~ 人と妖怪の恋愛もの。細かいほんわかエピソードの積み重ねなので、エピソード集みたいな体裁であまり小説という感じではありません。後半のひとつ大きなエピソードに関しては通常の小説っぽいかな? webだとこれくらいのパッケージのほうが逆にいい、みたいなところはあるかもしれませんね。小粒ながら、じんわりと温かい気持ちになれる良作。

 かわいらしい連作掌編集。一つ一つオチがついて読みやすく、人間と妖怪の生きている歳月の違いなど様々なトピックが盛り込まれて面白かったです。今作はもともとツイッターに投稿されていたものということもあって端的。ほんわかとした会話劇が主体のところで、終盤のこわい展開では無言で闇が広がっていくさまが描かれて、そうしたコントラストも素敵ですね。

 日記のように短い文章で日常のシーンを切り取りつつ、うまく物語を構成しています。とても読みやすく、最低限の要素で無駄なく構成されており、作者の高い技量が読み取れます。惜しむらくは、あまりにもきれいにまとまっており、意外性が薄いこと。もうひとつ大展開があれば、上位に食い込める作品です。


 大澤めぐみ ひとくいマンイーターカクヨムの大賞のほうに出したおにぎりスタッバーが全然ランキングに当たりも掠りもしないので慌てて書いたおにスタの追加エピソード。書きあがっていない状態から、毎日書いたはしからアップロードしていく連載というのは生まれて初めてだったのですが、なんとか書き上げられて良かった。変な脳汁が出ますね。

 面白かったですがいかんせん追加コンテンツです。個人的には最低でも『おにぎりスタッバー』シリーズのおにぎりスタッバーは読んでおかないと、面白味が減じるところがあると思います。また、この0話で明かされたバックグラウンドを読むことで、本編1~5話の行動がより味わい深くなったりします。それはそれとして、『ひとくいマンイーター』単体でも面白く、事件記事調の堅い文体が登場したりと工夫があります。また、作者がハマっている戦車ゲームがしっかり物語にからんで重要なピースとなったりする辺り、大澤さんのMOTTAINAI精神が表れていて感心します。すごい。

 おにスタシリーズは、一作品の内でさまざまなジャンルの要素が詰め込まれた作品。処女作には作家のすべてが詰まっていると言いますが、この作品も作者にとってのそうした作品になるのではないでしょうか。これからの活躍に期待。


 karedo 哲ちゃん死ね。前回、金賞受賞のkaredoさんの恋愛掌編。ああ、こういうのも書けるんだっていう感じで、作風の幅に驚きます。甘くもないしほろ苦くもないし、なんとも言えないこの気持ち。やはり一番近いのは「死ね」でしょうね。哲ちゃん死ね。

 カタコトになってしまう異常事態に始まって、カタコトがふつうのさかしまな世界へ辿りつく、何気ない単語が伏線になっていくところが巧いですね。はじめ、階段機知やイメトレなどを多分にする主人公による一人称語りのなかで、外部の事実描写や内心の感想もそこから飛躍した回想や空想も一緒くたに出来る地の文の性質をいかしたうまいネタが仕込まれているなあと思いました

 この作者には珍しい恋愛小説。女の子の微妙な距離感を、ちょっと変な日常風景から、軽めの文体で描いています。コンパクトなサイズで複雑な心理を描いているところは見事。哲ちゃんの魅力をもう少し別の角度から描けると、説得力が増すように思いました。


 kurosawa516 ~カワノムコウガワ~ んーと、なんでしょう。いちおう一話が完結している体裁になっているのですが、全然プロローグというところで、これで物語として出してこられてもよく分からない。自分の取り回しきれる物語の規模感の把握が必要な感じがします。まずはもう少し規模の小さい物語を起承転結つけて完結まで持っていく訓練を積むべきでしょう。

 第一回開催時のかおりがある懐かしい作品ですね。お話としては「妖しい少女が実は……」というヒネリもあって、なかなか面白かったです。河から戻ってきたあとのホラー描写はうすら寒くて素敵です。不在を伝える機械アナウンスの無機質さ。ただ、その前のアクションを交えたシーンについては、せっかく出してきた小道具がどこかに行ってしまうのが気になりました。闇の色濃いところと明示がありそれが物語にも絡んでくる川・川向こうで、懐中電灯を持ってきた大山君が大変なことになってしまうわけですが、電灯については最初に触れたきり以後、記述がなくなります。光が消えることは盛り込んで闇に呑まれた状態をつたえると、ピンチに閃光と爆音を伴ってあらわれる金の剣の金髪の少女の輝かしさがより際立つのではなかろうかと思いました。

 突如現れる化け物、それを撃退する謎の女性、死んでしまったはずの親友が翌朝何事もなかったように・と、ホラーとファンタジーの間で揺れながら今後の展開に期待をもたせる流れなのですが、残念なことにここで終わっています。うまくラストを描ければ、大化けする可能性のある作品です。


 想詩拓 嫁が決して捨てないたった一つのもの。こなれた感じのある恋愛掌編です。文は書き慣れているのでしょう、文章力は文句なし。3000字というコンパクトさにしてはちゃんとオチますし話の大枠も綺麗で良いのですが、見せ方にもうちょっと工夫はできるかな、という気もします。あと、これは完全に個人的な好みの問題になってしまうのですが、恋愛掌編は完全に全てに説明をつけてしまうよりも、すこし余韻を残すような終わり方のほうが好きで、ちょっと後半は説明過多かな? という印象を受けました。主人公が嫁をどれだけ愛おしく想っているか、という部分を、主人公の一人称語りでそのまま「可愛いなあ~」と言わせてしまうのは僕てきには減点。そこを別の方法で表現してこその恋愛掌編ですヨ。

 しっかりオチがついたお話ですね。成人男性による落ち着いた堅めの文体から、歌声のところで顔文字がでてきて、中間字幕みたいな使い方かな、ギャップが面白いと思っていると、地の文でも顔文字や矢印が出てきて「なるほどwebで文章を書いてるていの一人称語りなんだな」と、「発表媒体から目を背けないかただな」と思いました。

 2chのスレを読んでいるような気分にさせる文章です。文章が下手というのではなく、むしろ2ch的な読みやすさをしっかり保持しながら、整った文章で書かれています。作者の技量の高さがうかがわれる作品ですが、2ch的な文章を小説で読むことにどんな価値があるかというと、なかなか難しいところ……。技術点は高得点ですが、もう一歩なにか、こうした「実話風」で書かれることの必然性がほしいところです。驚きのラストが仕組めそうな感じがしつつ、普通に終わってしまった印象です。

 

 らすね クラスの可愛くてオタクの事なんて嫌いそうなあの子を催眠メス奴隷人形にしたい君のために。未完ですね。

 「私――任意のフルネーム」といった語り口を排しているのが凄いですね。催眠にかかって別人になりきり、友人を忘れてしまった被催眠者に自己紹介するていで語り手のフルネームを出したりする……物語の流れにそった情報提示がうまいです。

 残念ながらプロローグで終わっています。催眠術が実際に使える(?)先輩に催眠術を教わってクラスの女の子を・というテーマはうまくまとめられればおもしろいかもしれません。文章自体はやや奇妙な流れがあるものの読みやすく、完結作品を期待したいところです。


 yono 世界の終わりの図書。ちょっとどうなんでしょうね。小説なんでしょうか。詩とかそういうのに近いものと思います。

 雰囲気がよいです。記事のていで描かれた2話も、インタビューに答えるキャラの語尾が「にゃ」だったりと、柔らかですね。こうした良い意味でのとぼけた感じは、なかなか出せるものではなさそうに思います。現時点でも少女と郵便屋さんやその友人の関係などなど、余白のだいぶ残された断片的な構成ですが、あれやこれやの余白が埋められていくにせよ、埋めるつもりがないにせよ、何にしても量があってなんぼだと思うので、どんどん書き伸ばしていっていただきたいなと思います。

 不思議な図書館に住む猫と少女。美しく、想像が膨らむモチーフではありますが、いかんせんまだ何もお話が始まっていません。ぜひ続きを書き続けてください。


 ここの 性欲が強い。美少女→女生徒→男性教師 の三角関係、に一切関係しない女の子が主人公の話。とにかく馬力と速力があります。物語の中心を張れそうな三角関係に主人公はまったく関与せずに、単に巻き込まれてひとりで色々と考えて(客観的には)静かにストレスを溜めるだけ、というプロットの骨子はなかなか個性的で面白いのですが、惜しいのは、自分の気持ちよりも人間関係における義理などのほうを優先して物事を考えてしまいがちな主人公が、自分の気持ちというのを発見して回復していく(のであろう)後半の過程が、息切れして描ききれていないところですね。速力を維持しつつ、心の機微を丁寧に拾い上げることができると良いと思います。

 つらつら並べられた文章を読んでるだけで面白いです。「シルバニアファミリーみたいだな」とか比喩がいちいちすごい。同校のひとびとの三角関係の仲介人板挟み状態も変化があって、ボコボコにできる不細工な彼もいて、同校のひとびとの内心がめくられていって、彼以外のひとにも暴力をふるうようになり、主人公のライフスタイルも崩れていくわけですが、この追い詰められ方がすてきです。はじめは観覧車という遠いどこかの密室で行われていたのが、だんだんと人の目もある生活圏で行なわれていき、それに伴い内内で処理できていたものが外部で問題として対処せざるを得なくなるダイナミズムが凄い。

 もともと非常に高い文章力をもった作者の新境地。リアルな女子高生の日常に、パワーの強い言葉をゴリッと紛れ込ませてくる手法で、何気ない日常を読んでいるはずなのになぜかスリリングで、引っ張られるように読み進めてしまいます。ただ改行はもっと使っても良かったのでは? 読点なしはともかく、改行なしはかえってスピードを損ねてしまっている印象。文体には改良の余地がありそうです。ラストが秀逸で、こんなわずかな描写だけで読後感をここまでさわやかにできるのかと驚かされます。


 不二式 誘拐犯物語 誘拐犯が誘拐した女の子を成り行きで引き取ることになる話。関係性としては面白いのですが、人物描写がまだステロタイプの範囲内に収まってしまっている感じ。もっと一段掘り下げてキャラクターを描いていけるとグッとよくなると思います。

 犯罪者のうえ変態らしい誘拐犯と、誘拐された虐待児童の交流です。あざだらけで擦り傷もある体をスポンジで洗われるとき児童は痛がるそぶりも見せずおとなしくしているようなので、もう一工夫欲しかったです。でなければあまり変態性は出さなくてよかったと思います。それはそれとして、これが「警察」にて活用されるのは面白いところだと思います。「勇気」で見せた管理職ひいては会社にたいする契約社員(主人公)の内なる怒りが、「対峙」の富豪の父と主人公でぶつけられたりして、前述のアザの再活用といい、続き物らしい面白味があります。そうしたところから「いずれ何かしら解決を見るのでは」という思いがありますが、現時点ではエゴイスティックな人物造形が気になります。

 読みやすい文章で、物語も適度なスピードで展開していくため、すっきりと最後まで読めました。ただ、プロットには瑕が多く、例えば、なぜ虐待をネタに金持ちを強請らないのか、5才であれば小学校への入学を考えなければならず、警察の対応があまりに粗雑であるなど、疑問点が多く存在しています。プロット段階の推敲を入念に行うことで、さらにレベルの高い作品が書けると思います。


 いかろす 魔法少女マキナ☆サクヤ 未完ですね。ノッケからインフレマックスの速度感はよいので、是非完結を目指して書き続けてみてください。

 定型に、劇中独自設定をのせることで、主人公のメカに強い人物像を描いていき、そしてぶつかったところで定型から外れるところが気持ちよいですね。しかもこの外し方が、この物語にとっては「この設定ならそりゃそうなるよね」と納得いく自然なものでうまい。百合タグがあるので、今後は主人公とヒロインの交流が描かれていくこととなるのでしょう。いかろすさんの他作『フラジールキャット』も百合でしたが、こちらでは既に付き合ってから結構な時間や経験を重ねた後の二人の様子だったので、ゼロないしマイナスの状態から関係を構築していくだろう今作は新たな挑戦ですね。期待のふくらむ幕引きで、つづきが気になります。

 魔法と科学の融合・というテーマなのか? まだ物語が始まっておらず、コンセプトも見えません。やり方次第でおもしろくなりそうではありますが……。


 左安倍虎 幼馴染はファンタジー警察。いわゆるジャガイモ警察な彼女と創作が趣味の男の子の不定期連作恋愛短編。ホワイトデー式ストーリーテリングが今回の新規エピソード。現実の人間関係の問題に創作で応えていく、という趣向は面白味がありますし、その枠組みのために物語を無矛盾に用意する手腕も大したものなのですが、やはり枠組みのために用意したストーリーという感じが否めないところも。あと、構造の要請でどうしてもある程度の分量の作中作が含まれることになってしまうので、やや冗長なきらいがあります。作中作そのものもそれはそれで楽しめるような工夫があるといいかもしれません。

 二話三話とどんどんヒネリが加わって、右肩上がりに面白くなっていったと思います。恋敵キャラが、主人公や彼女の創作内外の態度について的確なツッコミを入れていってとても広がりが出ました。締めなど、読者と作者とが双方向にかかわりが持てるSNSの投稿サイトらしい要素が活かされていて、そこも素敵ですね。

 じゃがいも警察というのは中世にじゃがいもが出てきたことを怒っているわけではなく、そもそもアイルランドで麦に代わりじゃがいもが主要な農作物になったのは徴税制度の問題で……とつい突っ込みたくなるのをがまんしながら読みました。主人公はWeb小説投稿サイトの人気作家で、リアルの人間関係がその作品の展開に反映されながら、またその作品の展開がリアルの人間関係に影響を及ぼす、という構図は非常におもしろいと思います。ただ、これをうまくかみ合わせるのは非常に綿密なプロットが必要と思われ、現段階ではまだ歯車がかっちりとかみ合っていないように思われます。今後の展開に期待したい作品です。

 

 ロッキン神経痛限界集落 オブ・ザ・デッド。今回のダークホース筆頭です。自己申告によるとこれが処女作らしいのですが、基礎的な文章力、読者を引き込んでいく設定の巧さと構成力、そしてある程度の規模の物語を短期間に書き上げることのできる体力と、全てが一定の水準以上です。オブザデッドというタイトルの時点で読者が「ああ、なるほどゾンビものなのね」という前提で読み進めてしまうところを逆手にとって、ところどころで「あれ?」っと思わせながら、独特な世界設定に引き込んでいくところが非常にテクニカル。リアルタイム連載だったので期日までに完結できるかどうかが勝負の分かれ目でしたが、第一部を見事に綺麗に完結させて、文句なしに大賞候補の一角でしょう。

 冒頭のいぶし銀な恐山さんの仕事ぶりはもちろんのこと、「あぽかりぷすじゃ……」など、ぐっと引き込む話術がよいです。村らしい諸要素の活かしかたも素敵でしたし、劇中独自設定である並外れた膂力をもつ"送り人"の転がし方もまた素敵です。いぶし銀な恐山さんとその家族がまた良いで、都会で失敗した孫が村でほだされ、そこで若さや能力ゆえに危険な所へ飛び込んでしまうなどの村や"送り人"の良い面が裏目に出てしまったりする展開も多々あって容赦がありません。視点人物が複数いて一話一話交代するようにそれぞれの人生を語るような群像劇・ドキュメンタリ的な体裁と、物語に集中させるハードな展開と語り口のおかげで、読んでる評者は階段機知的な雑念をほとんど抱きませんでした。ひと段落ついて離れ離れになった人々が再会したり何だりして、そこで継承と成長の物語として立ち現れてくるラストが、なんとも切ないですね。

 現代日本、人の少ない中山間地域の山村。ゾンビと戦うことを生業とする家系。ありそうで無かったシチュエーションが、緊迫感に満ちた筆致で描かれています。山村が舞台と言っても、閉鎖的な村社会のいやらしさはなく、人と人のつながりの中で生きる人々の強さが際立って描かれており、パニックホラーを基本としながらも、感動的なシーンが随所に挿入され、ドラマとしても楽しめる構成。処女作ということで、用語や表現に粗さが目立つものの、それを補って余りあるパワーをもった作品です。大賞候補の一角。

 

 ヒロマル ブンボーグ009 ~決戦!ブラックボード要塞!~ サイボーグと文房具で韻を踏んだ特撮系小説。奇をてらったところのない、王道のストーリー展開。物語の起点をラストバトル直前にして、それ以前のストーリーは回想や台詞の中で軽く触れられるだけになっているので、webに適したスピード感も出せています。ただ、ブンボーグネタがただの言葉遊びやダジャレの水準に留まっていて、物語そのものにはブンボーグである必然性が薄いのが惜しい。

 特殊技能をゆうしたキャラたちによるハイテクSFアクションで、二万字に届かない分量でしっかりと特異な世界設定やキャラの背景を説明してキャラの対立軸も打ち立てクライマックスに向けて盛り上げてオチもつける、ヒロマルさんの筆力はさすがだなあと思います。今作の目玉は文房具だと思います。主人公とライバルそして黒幕……彼らの特徴はよく出ていたと思うんですが、ほかはどうなのかなというところがありました。たとえば飛行型ブンボーグが輪ゴムということで、「おお輪ゴムな~飛ばして遊んだ遊んだ」と思っていると、ジェットエンジンやら翼やらといった言葉が出てきて「?」となります。エンジンがダメになった後にゴムの張力で最後のひとがんばりするとか、そういう展開もありません。各キャラの思想と演説などとても熱く素晴らしく、作品としても面白かったんですが、自分が思い描くキャラクタの特徴と本編での実際おがめる活躍のギャップと、ヒロマルさんならもっともっと各自の色を出せるよなあという印象とが相乗効果で、作品の出来に反してちょっと乗り切れませんでした。

 四話で00ナンバーズが出てくるあたりから一気にエンジンがかかり、怒涛の勢いで石ノ森ワールドが展開されます。そのトレースっぷりは見事なもので、読み進めるうちに石ノ森絵でシーンが脳内再生余裕でした。ただ、どこまでも石ノ森ワールドなのがこの作品の美点であり欠点でもあるようです。キャラが文房具である必要は、結局のところあまり感じられず、サイボーグ009と違う部分、独自の路線となる点を示しきれていないように思えました。

 

 不死身バンシィ ミス・セブンブリッジ かっこつけなのにどこか冴えない、でも憎めない妙齢の女が主人公のハードボイルド風コメディ。シティハンターみたいなカテゴリかな? 第一話の時点で既に、依頼人は変態、ピンチに陥るも複数居る元カレの誰かの置き土産のおかげで命拾いする、元カレも結局変態、みたいなテンプレが完成していて、三話までお約束通りのテンプレを踏襲しつつ綺麗にオチているので水戸黄門みたいな安心感があります。前回大賞では辛くも入賞を逃したシャイニングポーラスター10連ガチャでしたが、この路線で伸ばしていくともっと面白くなるよっていう課題をきちんとこなしてきた感じですね。続きが楽しみな一作。

 一話について、暴力の起こしづらい状況でどう暴力を起こすか・どう凶器を持ち込むか。この問題に関心のある身としては、劇中独自要素をもちいて解決した今作は面白かったですね。敵群が2種類の凶器を用い、その持ち込み方もそれぞれ別種なのも嬉しいところ。バトルの流れは、「さあバトルだ」と依頼人と護衛が一斉に得物を手に取ります。依頼人は戦前から存在は明らかなれども本来的には武器でないキテレツな商品を即興的に得物とし、護衛がベテランの主人公さえ悟れなかったキテレツな隠し場から暗器を取り出し得物とします。すぱっと端的なダイナミズム、主人公を強く印象づける活躍。顔見世の初回にふさわしい展開だなアと勉強になりました。

 キャッツアイや峰不二子のような美貌の女泥棒・と思わせつつ、依頼主はド変態ばかりで、入手を依頼される品も変態じみたものばかり、という一風変わったコメディ・アクション。手に入れたばかりの依頼品を使って攻撃してくるキャラにはさすがに笑いました。審査時点で3つの事件が公開されており、それぞれうまくまとまっていますが、大きなストーリーはこれから動き出すかどうかというところ。かつての仕事仲間など、おもしろい要素がこれから出てくるようなので、今後が期待できる作品です。

 

 大村あたる 偽愛 恋愛短編集ですが王道ではなくそれぞれにちょっと倒錯しています。前回大賞受賞者らしい高い筆力。幻想的で耽美な作風はしふぉんにも通じるところがありますが、こちらは最後の一行でストンと落ちるオチを用意してくれていて、さらにエンターテイメントにも寄せている感じ。ただ、やはりそのせいか文芸てきな人物の内面描写が大味になってしまっていて、作者の強みをスポイルしてしまっているようにも感じられました。

 ひとびとのバリエーション豊かな趣味嗜好が描かれていて、そのうえ各話に驚きの展開も用意されていてえらいなと思いました。ただ「てことはアレはそういうことだったの!」というような伏線ががっつり利いてくるタイプのものというよりは、「こういう人だったの!」と知らされてびっくりする方向性かなあ。煉瓦を積み上げていく話が好きなのでそうした点から言うと『形愛』がよかったですね。また愛や執着が、見る/見られる関係性のなかで表されることが少なくないなかで、『喰愛』の彼は面白かったです。

 十分な筆力のある作者の作品で、評価すべき点は多くあるのですが、前回大賞受賞者ということで、今回評点が低い理由を詳しく述べたいと思います。まず、今回の作品は、前回作品のリアリティに比べて、ビザールな雰囲気を過度に強調し過ぎているように見えます。登場人物たちはなんらかの異常な嗜癖や性質をもつ人々ですが、各人の内面に踏み込んだ部分は少なく、どちらかというと見世物的な興味が先行しているようです。前回の「でも、女装を着けて」は、女装をする少年の内面が、ごく普通の少年の心のあり方から考えても十分理解できるよう、生き生きと描かれている点がすばらしかったのですが、今回の作品ではそれがうまく生かされておらず、表層的な印象。作者のフリークスへのシンパシーは感じるのですが、もっと一つの人物に的を絞って、深く踏み込んだ方が、強い作品が書けるのではないかと思います。非常に高いレベルの作品が書ける力をもっている作者で、今後の活躍に期待しています。


 ポンチャックマスター後藤コアラヌンチャク地獄拳。もうタイトルで全てです。コアラ!ヌンチャク!そして地獄拳!とびきりの馬鹿をパワーと速だけで押し切って行く剛腕ポンチャックスタイル。乱打されるエクスクラメーションマーク。文字からはみ出しまくりのルビ。理解されるつもりがさらさらなく説明もなくポンポン投入される単語。勢いとパワーだけで完結までの4万字を牽引していくのは流石です。他の人にはなかなかできないパワープレイ。

 どこもさんの小説がハートマークだらけでびっくりしましたが、こちらはビックリマーク連打です。それに加えて、馬鹿ながいルビが振られたりとすごい勢いです。すごい数字も並びますしコマンド入力もあります。次回予告も作者の現況報告的なものもあって、よくわかりませんがパワーがあります。ぐつぐつ煮えた鍋が好きなかたはおすすめできる一作ですね。

 かなり自由な文体によって書かれた小説です。書きなぐられたと言ったほうがふさわしいかもしれません。勢いがあって非常に元気のよい文章ですが、元気がありあまりすぎていて、読むほうにも元気が必要になります。正直、あまり元気じゃない状態で読んだぼくにはけっこう厳しかった……すまぬ……すまぬ……。なんかこう、具体的にどこがどうとか言うのは野暮なので、忍殺と格ゲーが好きな人はぜひ読んでみてほしいと思います。ハマる人はハマるはず。いや、たぶんね?


 DRたぬき 感傷的な季節の日々 不定期連載の短編連作? それぞれのエピソードにはそんなに通底するテーマとかもないので、習作集という感じでしょうか。今回の新規エピソードは深夜、片手にコーヒーを持って、天井を見つめる、花の風物詩の三つ。これといった物語的展開などはないのですが、自らの経験に根差しているのか、描写の質感が遺伝子ファッショナブルよりも全体的に高い感じ。この質感を他の作品のほうにも導入できるようになるとさらに一段階強くなるのではないでしょうか。

 夜に設定されることの多い、個人の静かな内省と風景の素描をおこなっていくような短編集のなかで『花の風物詩』は桜の美しさがきわだちコミカルな会話もある明るい一作です。梶井の有名な一節を思い出して「好奇心が旺盛で時間がたくさんあった若い頃なら試してみてもよかったが」と疲れた様子の語り手が、ベンチで寝る人を見つけたことで、枝でつついてみたりとすこし若返る話で、なかなか面白かったです。

 文体を模索し、迷いながら書いているような印象です。高いポテンシャルをもった作者ですが、どうも自分の得意とする作風を定めきれていないように思われます。一度、じっくりと時間をかけて構想を練り、楽しみながら書けるようなテーマを探してみるのがよいかもしれません。参加者の中でも、今後の作品に最も期待している作者の一人です。時間はかかっても、ぜひ傑作を書いていただきたいと思います。


 宇差岷亭日斗那名 僕と彼女とコンビニと猫 わりとダークホース。タイトルのとおり、僕と彼女(おそらくパン屋の)とコンビニ(の店員)と猫の話です。淡々と出来事を記述していくような文体なのに、不思議な温かさがあって読ませます。最少手数で一通りの道具立てを過不足なく揃えた、朝定食みたいな短編。

 一話、初めの二段落400文字くらいがよく行くコンビニの店員さんのことでつぎの二段落が語り手であるぼくのことで1200文字くらいで、この比率差は何かなと思っていると、「そんなことを彼女の~、食べ物を(動詞)しながら思っていた」で結ばれた言葉の類似に見られるように対称的な二話がきて、リズミカルな語りにつられてするすると最終話まで読んでいき、一話でかんじた疑問が解消されて物語の構造が明らかにされるミニマルな構成が凄いと思いました。

 短編として、とてもきれいにまとまった作品です。ナイーブな主人公の柔らかな語り口から、登場人物たちの優しさが伝わってきて、「優しい世界」を描けている点が見事。主人公と二人の女性の今後にも想像を巡らせる書き方で、続きが読みたくなります。文章を書く力が非常に高い作者だと思いますので、今後もぜひ小説を書き続けていただきたいと思います。次回作の楽しみな作者です。


 コフチェレン 消波小編。ごく一部では消波ブロックキチとして知られているコフチェレンの消波ブロック神話みたいなの。物語そのものを記述するのではなく、それを記述した嘘聖典から世界観を類推させるというのは試みとしては面白いかもしれません。でも、やっぱり小説ではないかな。

 教祖を自称しテトラポットについて啓蒙をしているかたなだけあって、それらしいものが出来上がってます。三編ともそれぞれ文体も工夫していて偉いと思います。外典『テトラポッド誕生の謎』はうさん臭さが増して好きです。是非この外典のような方向性を掘り下げてもらって、テトラポットのおもしろ実話とそのあいだを縫った創作という具合のものを書き連ねていってほしいところです。

 宇宙のすべてが、うん……わかってきたにゃ……そうか、空間と時間と既読との関係は、すごく簡単なことなんだにゃ。ははは……どうして地球にこんな生命があふれたのかも……。すべては、消波ブロックのおかげだったんだ……!


 どこもぴゅっぴゅさん。天才でしょう。ホットチョコレートでBANを食らったどこもくんですが、今度こそ文句なしの全年齢向けで見事現代ドラマ第一位まで登りつめました。これぞ奇襲奇策飛び道具上等の本物川KUSO創作団といった感じ。最近ポンマスさんによるぴゅっぴゅさんの朗読があって、さらにその可能性の拡がりの一端を見せられました。もうさすがに天井だろうと思っていたのにまだまだ進化する。これからも自分で自分自身を規定してしまうことなくどんどん進化し続けていってほしいと思います。

 かわいらしいですね。どこもさんの最近の作品はどこか上品な感じがあって、すごいです。

 まったくけしからん、本当にけしからん、こんなものを書いてしまって、ほんとうにきみはなんというアレなんだね、「カクヨムといえばぴゅっぴゅさん」などという印象がついてしまったらどうしてくれるんだね、まったく、こんなもので人を惑わして、きみは淫魔かなにかなのかね、ええ!? ともかく、どこもくんの次の長編に期待しています。ぼくなんかが評価するのもおこがましい話で、きっとこの人はほうっておいても大物になると思いますが、どこもくんを知らない人のために一言つけくわえておくと、彼の他の作品もぜひ読んでみてください。きっとその異常な才能に驚くと思います。


 佐都一 降魔戦記 ガチランカー勢のトップバッターです。褒められ慣れているでしょうから、辛めにいきます。このご時世に奇をてらわない王道ファンタジーを真正面から、その心意気が素晴らしいですね。昨今の異世界ファンタジーブームというのは世界設定を暗に借りてこられるので省エネ化が可能っていう部分が強いと個人的には思っているんですが、降魔戦記は借りものでないオリジナル世界の地理や風土風習などの設定も作者の中で出来上がっているようで、その練り込みの労力はさすがという感じ。ただ、小説作法として見ると気になるところもいくつかあって、一番気になるのはやはり視点のフラつき。二人の人物が対峙しているシーンで、そのどちらの心理状態も地の文で描かれてしまっている。これはどちらかと言うと漫画的な手法なんです。作者の頭の中にある漫画を文字で説明しているような感じ。小説には小説なりの強みがあって、決して漫画化やアニメ化のための設計図ではありませんから、小説というフォーマットの独自の強みを身につけていくと、もっとグッと良くなると思います。

  一瞬一瞬刻々と変化対応する剣劇から町一つを使って手勢を動かしながら相手の思惑を読みあう集団戦、時間を稼ぎつつ戦い神話の世界さながらのド派手な召喚バトルまで、さまざまな模様が描かれていて凄いですね。強い主人公ら、彼らを知恵や能力で上回りもする敵……白熱するバトルを、盛り上げ上手な地の文がさらに白熱させています。第一章のバトル模様は顔見世的な町での一騎打ち編と、集団戦となる聖なる谷編とがあるわけですが、主人公である王ダラルードとクラッサスとの料理屋で遭遇・名乗りを上げての決闘の顛末からして、それぞれ独自の考えをもって動いています。迫力の戦闘模様だけでなく、ウィットも所々挿し込まれています。ダラルードとクラッサスの果し合いの顛末も面白いですし、聖なる谷のひと幕では、生活を感じさせるウィットが所々出てきてよろしいですね。第4話で、王宮で自分たちの敬愛する王がしゃがみこんだ時に、臣下がそのさらに下の腰を落とそうとする辺りのところが好きです。自身のバックグラウンドを包み隠さず話すクラッサスとなんとなく秘密主義なルカが、危急の事態に即席でコンビを組んだとき飲食物の調理法のことで互いを知り、中断をはさんでもう一戦したときにさきほどの会話から出たセリフを合言葉に以心伝心する関係となっている……この辺の展開が素敵ですね。

 なんとも不思議な魅力をもった作品です。いわゆる中世風ファンタジーの小説として、大きく変わったところはないのだけれど、世界観がしっかりと作り込まれており、これが物語への強い吸引力を発揮しています。読んでいるうちに、だんだん自分もファンタジーを書いてみたいと思わせる魅力をもっていて、断片的に語られる設定から、どんどん想像が膨らんでいきます。ファンタジーの、特に作り込まれた設定が好きな人にぜひ読んでいただきたい作品です。

 

 齋藤希有介 スリーピングマジェスティ 辛めにいきたいところですが、これはなかなか強敵ですね。同じくファンタジーランカーの降魔戦記に比べると、キャラ設定もテンポも世界設定も全体的にライトな印象で、架空のゲームのノベライズてきな部分はありますが、それは作者も敢えてやっていることでしょうから難癖つけてみてもただの好みの違いという話になりそうですし、構成もwebというフォーマットに最適化されていて文字数あたりの物語の取り回しもいい感じです。書籍で読むとかなり駆け足な印象になりそうですが、webだとこれくらいのほうがいいのかな? 兵站や政治に関してもやはり数字のやり取りにすぎなくて質感が薄いというかゲームてきで、好きじゃない人は気に食わなそうですけど、そうか、お前は好きじゃないかって話で終っちゃいそう。ストーリーのほうも飽くまでヴラマンクに寄り添うかたちになっていて、過度に複雑でなくスッと読めます。凝っていたり重厚だったり複雑だったりするほうが偉い、みたいな価値基準に対するカウンターパンチとして成立している感じで、色々気に食わないんだけど評価せざるを得ないってところ。web小説を続けていく上では非常に学びがある内容でした。

 のどかなコメディから始まって、たびたび訪れる眠りによって容赦なく期限の迫るサスペンスを経て、怒濤の戦争模様となっていくのが凄いですね。web小説はわりあい途中で息切れしてしまうか、でなければやたらと長くなる傾向にありますが、カクヨムコンテスト作品ということで一般書籍の一巻本になったときのことを意識されているようなしっかりした起承転結があり、このペース配分に感心しました。構成上はじめは流血沙汰の派手な見せ場がないわけですが、それでもしっかり読ませる面白さがあります。書き出しも印象的で素敵だし、そこから長期間の眠りによる時代変化・意識変化による主人公とのギャップによるコメディ部分もそれ単体で面白かったです。大小さまざまな物事にかかわる長きの休戦と眠り続ける王を抱えた国の動きがほのぼのとした調子で描かれて、こういったディテールだけでも十二分に読ませます。「新たなる騎士たち」で明かされるヴラマンク全盛期の血で血を争う過去もなかなかに凄惨ですごいですし、そこで紹介された逸話の一つである切っても倒れず戦いを挑み続ける家族の姿が、現代のデグレによる猛追のフックとなるあたりもうまい。そうしたディテールが、きちんとドラマのなかで活かされているのがまたよろしいですね。

 10代前半の読者を想定してか、平易で読みやすい文章にするための丁寧な工夫が施されています。話の内容は、国の衰えた兵力を回復させ、外敵の侵攻から守るというもので、内政パートも目的がはっきりしており、違和感なく読み進めることができました。騎士に異能をもたせる華印の設定は、花の名前が騎士のイメージを形作る役割ももっており、限られた紙幅の中でキャラクターの個性を効果的に引き出しています。全体として、非常によくまとまった作品。完成度が高いため、文句のつけどころがあまりないのですが、あえて言えば、よくも悪くもきれいにまとまった作品であり、驚くような斬新さがありません。それでも多くの読者から高い評価を受けられるのは、作者の基本的な技量が高いことと、多くの人に受け容れられるような内容にしようという工夫の成果でしょう。個人的には極めて高評価ですが、本物川小説大賞においては、瑕疵があっても突破力の高い作品をより高く評価したいところで、本作はやや不利かもしれません。

 

 同じく、齋藤希有介 3Pーっす!! もうタイトルからしてひどい。ややお下品路線のコメディ。本文のほうはタイトルに見合うほどの飛び抜けたお下品さはなく、むしろどんどん壮大に展開していきます。スリマジェを読んだ後だったので、ああこういうのも書けるんだっていう芸風の幅に感心しました。作者自身もあまり拘らずに気楽に書いているのか、スリマジェに比べるとwebフォーマットへの最適化もそこまで丁寧にやっていない雰囲気です。作者曰く出落ち作品ということですが、結果的には9万文字の大ボリュームに。書けてしまう人に多い、普通に書くとモリモリ文字数が嵩んじゃうタイプの人なのかな?という感じで、ちょっと冗長かも。翻って、やはりスリマジェはかなり意識してダイエットしてライトに仕上げてきたということなのでしょう。

 あけすけに下品な冒頭からはじまって、タイトルからは想像できない所へ行くので驚きました。作劇も掛け合い漫才するような具合で『スリーピング・マジェスティ』とはだいぶ違うなあと、齋藤さんの引き出しに驚きました。

 同じ作者の「スリーピング・マジェスティ」とはうってかわって、こちらは異能バトルもの。本作でも安定して高い文章力と構成力が発揮されていますが、徒手の格闘描写は本分でないのか、スリーピング・マジェスティの戦闘描写に比べるとかなり大雑把な印象を受けます。全体的にも軽いノリの作品でもあり、作者も肩の力を抜いて書いているのだと思いますが、やはりスリーピング・マジェスティと並べて読んでみると、やや迫力に欠けるのは否めませんでした。


 仁後律人 撃鋼戦輝ガンキャリバーR とにかく長い。現時点で30万字超という人を殺しかねない大ボリューム。やはり長いぶんかなりのスロースタートで盛り上がってくるまでに時間がかかります。しかし、ひとたびイグニッション!するやいなや怒涛の熱い展開。正義とはなにか、というのは初代ライダーから連綿と続く特撮ヒーローものの王道のテーマで、人物の心理描写に特化した小説というフォーマットは意外と特撮ヒーローをやるのにも向いていたのだなという気付きがありました。

 覆面がたやすく剥がれてさっくり身バレしてしまうので大変だなあと思っていると、怪人の存在は生活圏に根差していて、双方の正体がわかったうえでバトル外で変身を解いた怪人と話してみたり、これぞ本物という正義の味方もいたり、そのなかで自分はどうすればよいかという話にもなり、どんどん入り組んでいきます。

 個人的に大好きな作品です。ストーリーは昭和ライダーを思わせるようなやや陰りを帯びた変身ヒーローもの。これを現代のライトノベルがもつ軽くて早い文体で、駆け抜けるように描写していくのですが、この組み合わせがなかなか絶妙。なぞのグルーブ感を覚えながら読み進めていくうちに出てくる「イグニッション!」のキメ台詞が激熱です。仮面ライダーとか好きな人はぜひ読んでみてほしい作品。ちょっと古いんだけど、そこがまたカッコいい。キマイラに対する独特な形容も見所です。

 

 奈名瀬朋也 あさひ色TOPIC オムライス小説。あさひちゃんの成長に焦点を合わせているので作中の時間経過が何年にも及ぶのですが、語られるエピソードは夏に限定されているのが特徴的です。一本のラインではなく、夏だけが断続的に語られる。青い空に入道雲、庭に面した大きな開口部のある日本家屋。日本人なら不思議と持っている「夏休みに帰省する田舎」の心象風景。そういったノスタルジーへの強いこだわりが感じられます。ただ、やはりそういった優しいノスタルジーを描くために過度に濾過されているところがあって、かなりの文字数を割いているにも関わらず表層の綺麗なところしか描かれていないような、個人的な好みの話になってしまうかもしれませんが、僕としてはもうちょっと踏み込んで描いても良いのではないかな、みたいな印象も持ちました。もっと精神的に全裸になるべき。

 小学生の女の子と一つ屋根の下……ということなんですが、本作のヒロインあさひちゃんは大学生であるトキの言うことを何だって笑顔で聞きいれてくれる天使ではなく、小説の外に目を向ければそこらじゅうで見かけられそうな普通の子――つまり嫌なことは嫌だと態度で示すし、その理由は教えてくれないし、そもそも機嫌がよかろうとわるかろうとそんなに口を利かなかったり口を開いてもすぐ嫌味が出てきてしまう、そんな嫌な面も多分に抱えた子。微妙に下手をうってしまったりもするトキと合わせて、等身大の人々のコミュニケーションという感じで、とても良いですね。ただ、そのようなところは小学生編の終盤までの話で、心境を吐露し和解したあとは、あさひちゃんはまじめで素直な良い子へと成長し、そこに明るくまじめで素直な良い子の同級生ほのかちゃんや引っ込み事案でまじめで素直な良い子の年下小学生あさぎちゃんが加わっていきます。小学生編にあったような、ちょっとそこに居合わせたくないような気まずい空気というのがほぼ後退してしまいます。中高生編も良いし、それまでの積み重ねが活かされる展開も用意されて面白いんですが、小学生編が好きなぼくとしては、ちょっと好みから外れてしまいます。

 薄味派のぼくから言わせていただけば、コロッケにソースとか勝手にかけられたら怒りますよ、それもコロッケが大好きならなおさら……。と、なんだか個人的な嗜好でいきなり共感できた作品です。恋愛ジャンルの作品ですが、いきなり運命じみた劇的な恋愛が始まるわけではなく、人と人との基本的なつながり方が丁寧に描かれており、好印象です。今回は小学生編だけに絞った評価ですが、本作の特徴は、出会った時点で小学5年生と大学1年生という大きな年の差だった二人が、8年の歳月を経て、19歳と27歳という恋の成立し得る年齢に至るまでを描いている点。このコンセプトもおもしろく、高く評価できる点です。


 噴上裕也 ケモノの王 これすごい好きです。単純な文章による表現力ではランカー勢の中でもダントツじゃないでしょうか。同じ現代アクションカテゴリでしのぎを削ったニャクザが描写を排しているのとは対照的に、非常に映像的な場面描写で読者の頭の中に強制的に映像をレンダリングさせていくような力強い文章。登場人物もかなり多いにも関わらず、それぞれの書き分けもしっかりしていて深みもあります。場面描写、心理描写、戦闘パートに日常パート、全てが高い水準で、なにがすごいという話ではなく全部がすごい。

 単純にめっちゃ面白かったですね。色々なキャラが現れて次第に点と線が結ばれていくようす、後になって「これはこういうことか」とポンと手をつくような布石の数々。異なる陣営が同じ場につくバトルや対談模様はあれやこれやの権謀術数がうずまいてどろどろとして読んでいるこちらも手に汗握ったり汗が出たりします。場面つなぎも面白く、「ジェヴォーダンの獣-2」に出てきた戦闘準備としての消臭というモチーフがつづく「シャドウゲーム」の幕引きとなったら、次の「勝手にしやがれ」回は、きれいな和室のきれいな顔立ちのキャラを乱すための悪臭で始まります。気心の知れた兄妹の大家族ホームコメディのための一モチーフということで、こうした大きなコントラストも魅力的です。「勝手にしやがれ-1」で「兄弟のうち一人だけ拾われ子だ」などとウソついて喧嘩になるようなどたばたホームコメディが終わると、「2」ではそのウソついた秀徳くんが新入生へ自己紹介を兼ねた自身の名前が大家族のなかでいかに異質かを伝えるギャグなどが場をなごます学園コメディになります。開発地へのデートと、心温まる展開がつづいて急転直下のどシリアスに。先の読めないジェットコースター展開が楽しい。

 ぼく、うさぎにはごめんなさいしないといけないね。審査が始まるまで、実は「ケモノの王」、読んでなかったんだ。でも、読んでみて思った。ニャクザで太刀打ちできる作品じゃなかったって。こんなにしっかり作られてると思ってなかったんだ。いろいろ具体的に挙げてほめたいところはたくさんあるけど、ここではやめておくよ。実際、現代アクション部門で1位とる作品として、納得の出来でした。カクヨムの現代アクション部門は、手前味噌な話だけどかなりしっかり作られてる作品が多いと思います。その中でもこの「ケモノの王」は出色の作品。アクションものが好きな人は、ぜひ読んでみてください。まさしくトップランカーの作品です。


 一石楠耳 剣脚商売 ~現代美脚ストッキング剣豪譚~ 実にガーリー。これはもうタイトルとキャッチコピーが秀逸すぎましたね。ともすれば一発ギャグで終ってしまいそうなネタをひたすら引っ張って10万字以上を牽引してしまう馬力は大したもの。これもどちらかというとニャクザと同じ系統で、描写はわりとアッサリとしていて、主に台詞回し(特に地の文の台詞回し)と丁々発止の掛け合いでもりもりプロットを消費しながら超スピードで物語が展開していく感じ。キャッチコピーでついつい笑って軽い気持ちで読みはじめたら、すごいところまで話が拡がったもんだなぁとしみじみしてしまうような類です。

 序盤は一話にひとり敵キャラが出てきて戦うといったような一話完結的なところから始まって、お話はどんどんと大きくなり、それでいて序盤に出てきたキャラやらがしっかりと終盤まで出張り掘り下げられ長編としての厚味が出てていって凄いですね。

 ほとんど出オチのようなとんでもない基本設定なのに、そのまま突き進んで10万字読ませるという異様な作品です。剣脚商売というタイトルではあるものの、剣客ものというよりは忍者……いや超人プロレス……のような、かなりド派手な戦闘が繰り返され、1話につき1回戦闘がある展開なので、ダレずに読み進められます。ともかくどんどん敵が出てきては退場していき、贅沢にキャラクターが使わていくので、大筋のプロットよりもずっと濃密な内容を読んでいる感覚。アクセス数を見ると1話離脱率がやや高めですが、1話で笑って読むのを止めてしまうのはもったいない。ぜひ2話以降の怒涛の展開も楽しんでいただきたい作品です。


 鈴龍 嫉妬ほど美しいものは無い 三話まで進んでいますが、ようやくプロローグのとっかかりぐらいの感じ。まずは完結を目指して地道に書き進めて下さい。

 句読点の使いかた等に個性のある面白い文章で、読んでいて楽しいです。概ね饒舌な文章です。ただ、ほんの時折なんですが評者にはこれが饒舌というよりも、堰を切った余裕の無い調子として読めるときもあり、突然なにやら空気が張りつめて感じられたりします。異形がでてきたところ(画面を埋め尽くすダッの連打や、ニクイの連呼)は素直にこわかったです。

 残念ながら、序盤で止まっている作品です。人の負の感情(あるいは嫉妬だけ?)が集まってできた思念体がおり、それを除霊(?)する力をもった少女がクラスメートで・というアイデア自体は、うまくストーリーをつくればおもしろくなりそうな感じがします。作品自体も、もう少し進めばおもしろさが出てきそうなのですが。


 槐 すずめの神社 小説ではなくエッセイですね。小学校のころに実際にあった、すずめの神社に関するエピソード。エッセイなので特にすっきりするようなオチもありませんが、なんとなく気になる感じはあるので小説の種みたいな。こういった実体験に立脚して物語を創造すると良い質感が出るのでぜひ小説にも挑戦してみてもらいたいですね。

 学校によくすずめが落ちてくるので土にかえす話です。町によく人が落ちてくるのでバットで打ちかえす、とかそういう話ではありません。文芸誌掲載作品(07年文學界新人賞受賞作)でもそのくらいキテレツで派手なことが起こるので、こういう地味に珍しい体験談が拝める機会というのは草の根インターネットならではやも。抑えた調子で「こういうことがあったのでああいう風にしました。おしまい」という具合の素朴な話にしていて素敵です。だからといって素っ気ないというわけでもない、やわらかくて良いあんばいです。

 小説として完成している作品ではありませんが、何かとても惹きつけられるもののある文章です。「すずめの神社」というモチーフ自体は、それほど特異なものでもない感じなのですが、なんでしょう、ここからすごい物語が湧きだしてきそうなこの雰囲気は。文章自体もこなれており、とても読みやすく、味わいがあります。ぜひプロットをつくり、小説を書いていただきたいと思います。


 ヒロマル 概念戦士・本物川 第一回本物川小説大賞にもエントリーしていた本物川小説。第四話、三十体の偽非概念が今回の新規エピソード。今までは一体ずつ襲いかかってきていた偽非概念が三十体まとめて襲い掛かって来るという打ち切り直前展開。考えなしに四十二とか言うからもー。襲い掛かって来る偽非概念を次々と倒し、倒すや否やその偽非概念の能力を使って次の偽非概念を倒して行くという趣向。ラストの━━スーパー本物川だ!で笑ってしまいました。まだ残り十体程度残っていますがちゃんと完結まで書きあげられるのでしょうか。

 「三十体の似非概念」編からは、それまでに登場した先輩や同級生などなどが絡んだ格段の出来です。バトル前のコミカルな誤解ネタの応酬に感心していると、こんどはシリアスな誤解の悲劇の両面撃ち、追い打ちをかけるように概念バトルでも劣勢に立たされる展開が見事です。ここまで異文化理解・誤解ネタを重ねた末に、ついにシンクロするふたり、そしてまた異文化交流ネタで締める最後がまたにくい。

 うん、そうだよ、こういうのでいいんだよ、本物川小説大賞っていうのはさ……。第三回を迎える本物川小説大賞ですが、第一回のころはこういう本物川が出てくる小説が主体だったのです。第二回からはレベルがかなり上がって、上位層にはかなり本格的な小説が見られますが、本物川小説大賞は、初めて小説を書く人でも気軽に投稿できるイベント。いきなり自分のキャラを活躍させるのはどこか気恥ずかしいという人は、本物川というモチーフを使ってもOK。この作品のように、発想力次第では十分楽しめる小説が生まれるのです。次回本物川小説大賞への参加をお考えの方は、本作を読み、参考としてみてください。

 

 不二式 この世でもっとも恐ろしいもの ファンタジー世界ベースの異種族間恋愛もの、になるのかな? 全体的に暗くて悲壮感漂う世界観で、たぶん悲恋になりそうな予感ですが、まだ途中なのでよく分かりません。ひとまず完結に向けて頑張ってほしいところですが、誘拐犯物語と違って異世界ファンタジーですから、景色の描写などをもっと丹念にする必要があるように感じました。想像してみても背景が真っ白になってしって、場面があまり思い浮かばない感じ。不二式さんは既存のイメージを流用して描写を省略していくのを得意にしているようなのですが、その共通イメージを読者が持てないと一気に真っ白になってしまうところがあって、こういった完全にオリジナルの世界設定をする場合はもっと丹念な描写を心がけるか、いっそ独特な世界設定は避けるか、なにか工夫が必要かも。

 なんとも容赦のない展開が続いて、欝々としてきますね。かわいそうな女の子が閉所に連れていかれて世話をされる……という点では同じく不二式さんによる『誘拐犯物語』と共通するところがあるかもしれません。視点は女の子に重きが置かれ、竜は全容の知れない恐ろしい存在として登場しているところが違いかな。また、階級差種族差からくると思しき軽蔑の眼差しが女の子以外のあちらこちらに注がれて、その辺がまた鬱々とした調子を強めます。これからあれこれ動き出すのかな? という感じで、まだ何とも言えません。

 完結しないと評価の難しい作品です。主題である「この世でもっとも恐ろしいもの」がなんなのか、現時点ではまだなにもわからない状態で、ストーリーについてはほとんど論じることができません。文章は読みやすく、適度なペースで進んでいると思います。細かい点ですが、三点リーダ(…)は2つ並べて使うのが普通です。こうした点は、読者に不要な違和感と、何か意味があるのかなという疑問を抱かせてしまうおそれがあるので、特に意味がなければ、なるべく一般的な形を使うのがよいでしょう。


 大澤めぐみ パーフェクトワールド どら焼き。

 天皇皇后両陛下のたとえとか、思いもよらない凄いところが引っ張りだしてくる語り口が素敵です。何気ない日常的な風景が、しっかりドラマに貢献している。冒頭のお昼の弁当から水飲み場での友達の元カレとの会話そして終盤のカフェと、会話の舞台に飲食物がある所で大体まとめられているのがよいです。語り手の記憶の中のさわやかな春の陽気の桜の下でフリスビーをするズンズンと、現在の語り手が偶然みかけた陽の落ちかけたケヤキ並木で見られる湿気っぽい彼女の対比。元カレと会話の場が前述の通り水飲み場なのは、その子が部活動してる子なので自然な設定ですが、そこに「湿気っぽい」と表される現在の友達の嫌な感じや自己嫌悪する語り手が抱く「残尿感」、二度目の水飲み場で出てくる冷や水を浴びせられるといった慣用句や涙するといった直接的なアクションなど、湿気に連なる言葉が重ねられているところ、そしてオチのどら焼きの挿話を読むに、これも意図的なものなのではないかと思わせるところがあります。自分が完璧と思う世界に出くわすと心のカメラのシャッターを切る語り手に対して、友達の思い出話のなかにあるちょっとした一言「いっぱい写メも撮られたよ」も主客の対比。出してきたモチーフをしっかりドラマに活かす、というところが大澤さんは巧いですね。

 きれいにまとまった短編です。パーフェクトワールド、完璧な世界というタイトルは、逆説的な意味で本作のモチーフとなっており、未熟ゆえの居心地のよさ、そこから抜け出たくない幼さが、女子高生の視点を通じて通奏低音のように描かれます。人は一人で成長するのではなく、周囲の人々の変化に追い立てられるようにして成長していくもの。その残酷さと、そうした現実の中で前を向いて進んでいく女の子の姿が胸を打ちます。この作者の特徴でもあるラストの不思議なさわやかさが、この作品では特に際立って感じられます。


 karedo 幻想都市百景 これはすごいです。描写とはつまりこういうことだ、という感じ。大枠のデッサンだけで物語をブン回していくニャクザとは完全に対局の偏執的な細密画。ぜんぶ嘘のでっち上げなのに、読んだ後にはまるでなにかの知識を得たかのような気分になります。ファンタジーガチランカーのふたりにぶつける本物川KUSO創作団からの対抗馬としては文句なし。物語の進行は遅々としていて、大部分がひたすらに描写が続くだけの幻想世界ブラタモリ、ファンタジー民俗学。三話を過ぎてようやくレギュラー?キャラクターも出はじめたので、そろそろ物語が動くのかな?みたいなところで続きに期待です。佐都一さんと斎藤希有介さんにはぜひ読んでもらいたいですね。きっとKUSO創作勢あなどりがたしとなることでしょう。

 商人らしい目配りがよいです。1話では商品や商品の生産過程や市場の様子が、五感をもちいて描写されます。3話からはバトルも入りますが、商品と機転で戦って、戦後にまた商品の作り方を伝授したりと商談つけとく辺りのちゃっかりした商人らしいキャラの動きが素敵。まるで本当に見てきたかのような細かなディテールが凄い訳ですが、それを抜きにしても語り口・ストーリーテリングが巧いと思います。1話の手をもむほど寒い安宿から、新調したなめらかな手帖の手触りをつうじてその生産地の鮮やかな獣と人の牧歌的な暮らしがつづられ、いざ現地に行くと冒頭以上に手が荒れ放題となる作業風景がお目見えする、各場で"手"のようすを出すところとか。3話の恋人の手⇒短刀の柄を"握る"アクションで繋げたモンタージュなどに見られる、視線誘導の巧みさや繋ぎのなめらかさ。ストーリーの面白さという点では、3話は、旅のガイドのことや彼が賊に転じうる旅自体の危うさ・人間関係やケモノの恐さをシッカリ書いたうえで、実際にバトるのは更にこわい、瞳が星と見紛うような超自然的な魔物って辺りのヒネリが入れられてます。

 都市を渡る商人の視点から、一つひとつの地域を描いてゆくことで、異世界の姿を浮かび上がらせようという作品。作者の安定した文章力が、幻想の街に確かな実在性を感じさせ、作品としての強い可能性を感じさせます。現時点ではまだこれからの作品という印象ですが、基本的な構造は完成されており、コンセプトは成功を収めているように思います。純粋に読者として、これからの展開を楽しみに待てる作品です。もっと話数が進んでいれば、大賞候補となっていた可能性が大。


 左安倍虎 易水悲歌 始皇帝暗殺といえば、小説も映画もこれまでに何度となく作られている主題ですが、本作は「刺客列伝」にも記された荊軻の歌の才にフォーカスし、それを一種の異能のように見立て再編した物語です。本作においても始皇帝暗殺が最も大きな山場のシーンとなりますが、飽くまでフォーカスは歌に合わされていて、言ってみれば史実によって最初からバッドエンドが定められている物語に独自の拡がりと希望を見せています。歴史物という定められた枠組みの中で、新たな物語を紡ぐという真正面からの取り組み。ラストシーンの儚さと美しさがヤバい。

 こういった史劇は、Web小説ではなかなかお目にかかれないのでは。史劇をつづるにふさわしい硬質な文章で、そこに異能を挿し込んでいて楽しいです。史実を知らない評者でも、陰謀と密談やバトルの数々、その間で育まれる師弟愛やら恋愛やらにより面白く読めました。冒頭のどちらが剣を抜いて先に攻撃を仕掛けるかというバトル模様からして良いですし、クライマックスでは主人公vs秦王の対決を扱いつつも周囲に立つ人にコラテラルダメージを与えることで異能の凄さやそれを真っ向から受けるボスの凄さを伝えます。

 『キングダム』や『達人伝』といった、春秋戦国時代を扱った漫画作品が人気になったことから、始皇帝の時代の武将や政治家の名前を知っている人も多くなっていると思います。しかし、史記の中でも特に有名な荊軻に対するイメージは、日本だとまだ暗殺者という暗いイメージが中心。本作は、そうした荊軻のイメージとは離れた、史記に描かれるような、音楽を愛し、士人と交わる風流人としての荊軻の姿をもとにしつつ、「羽声」という不思議な声の力を軸に、歌と最後の暗殺劇とを結びつけ、荊軻の新たな人物像を描き出しています。基本的な文章の力や、史実上の人物を適度に配置する構成の妙に加えて、こうした新規性は高く評価したいところ。大賞候補作品の一つとして推したい作品です。


 DRたぬき 朝霧の廃人、そして猫 適当に出された三つのお題を無理矢理にでも組み込んで即興でお話をつくる、三題噺っていう小説書きの遊びというかトレーニングみたいな、そういうので書いたそうですが、それにしてはなかなかのスケール感です。序盤から中盤にかけて、わけも分からないままに読者を引き込んでいく謎の吸引力がありますが、やはり即興ゆえか後半までそれを維持しきれていない感じはあります。

 1万字程度をさくさく描ける安定した筆力です。謎が謎をよぶ序盤の展開でぐっと引き込まれました。

 序盤、主人公の正体がわからない状態で描かれる、断片的な記憶と廃倉庫での自堕落な生活には、強い興味をひかれました。ただ、中盤ちょっと息切れをしてしまったのか、話の展開を急ぎ過ぎているきらいがあります。主人公の正体については、隠したまま山場まで引っ張ることもできるはず。現在の形では、敵の登場もかなり唐突な感じ。もっと丁寧に進めていけば、上位に食い込める作品だと思います。

 起爆装置 恋人同士な僕たち ボーイミーツボーイ。いわゆるBL。でもすごい綺麗な感じでとても良いです。ねとねとしてなくてサラリとしてて、でもアッサリじゃなくて深みがある。気の向くままに自由に書いているのか、視点人物もコロコロ変わるし、話もあっち行ったりこっち行ったりで僕個人としてはハラハラしながら連載を見守っている感じだったのですが、最後の最後はタイトルまで回収するすごく綺麗な落とし方で、これ本当に天然でやってんのかよってビックリします。つらつらと書いているわりになんとなく連なっている感じがするのは、雑踏京という街への視点が作品に通底しているからで、諦めのような愛着のような、そういう愛憎半ばみたいな地方都市の閉そく感に対する思い入れが感じられます。

 学校の狭さがすごくよいです。行動範囲や交友範囲の狭さ。とにかく人の目が多く、レジャーは乏しく、外食も定番化している。少し時間がずれただけで知った顔が現れるだろう危うさ。カップルの情報は即日知れ渡りアダルトショップでさえいつ行って何買ったかがバレてしまう。それでいて、有名な事柄をニアミス的に知れてなかったり、友達の友達は友達ではなかったりする。各話、多数の人が複数の時空間をめまぐるしく入れ替わり立ち代わり現れるなかで、なじみの顔がなじみのお店で待ち合わせしてなじみでない連れ合い同士がなじみになって、外を気にせず視界に身内だけを入れて話し始める……さわやかで落ち着きあるラストがたまらなく素晴らしいですね。

 非常にむらっけの強かった起爆くんがついにやってくれました。雑踏京という地方都市を舞台に、街とそこで暮らす高校生の様子が、さらりとした軽妙な文体で描かれています。よくある地方都市の風景、そしてちょっと変わった一組の恋人たちと、その周囲の人々。一つひとつの話題は、つながりがあるのかないのか、大きな事件が起こるわけでもなく、ゆるやかな流れの中で話が進んでいきます。


 大澤めぐみ ある日のあいこさん ファンキー。

 すこし不思議なやつですね。ブックオフで本漁りするところでのファンキーな地の文が、途中からスッキリするのが良いですね。面白いじゃない。

 掌編としての完成度が非常に高い作品です。名前が先行してしまいがちな作者ですが、この作者の作品を読むなら、まずこの作品から、ぜひ虚心で読んでみていただきたい。非常に優れた構成力と、軽くてスピード感のある独特な文体をもっています。本作の特徴でもありますが、テーマとしてはかなり感傷的な内容を扱っているにも関わらず、読後感が異様にさわやかなのが、この文体の魅力。今回の応募作の中で、1万字以下の作品に限って言えば、最上位の作品だと思います。


 くすり。 コンチェルト ジャック・ルーシェがプレイ・バッハでジャズとクラシックの融合を見事に成し遂げてから半世紀ほどが経ちましたが、今でもジャズとクラシックの違いと対立、メロディとリズム、楽譜と即興、水と油のようなそれらを融合させる試みはホットなトピックであり続けています。本作は、めんどくさい音楽オタクがめんどくさいオタク特有のめんどくさいオタク語りをすれば、冗長で退屈で衒学的になりがちなこのトピックを、それぞれの音楽をそれぞれの少女たちに代表させ、その人間関係によって描き出すことで、非常にとっつきやすいものに仕上げています。ジャズの天才とクラシックの天才の王道の対立構造。そして、その双方の良さ、素晴らしさを素直に受け止めることのできる「元・現代クラシックの申し子」が、どのような演奏を成し遂げていくのか。続きがとても気になる作品です。

 音楽ものです。いままでの大賞であったかな、題材も珍しいと思いますし、ディテールも面白いです。幼年編序盤の半生ついての描写は事実列挙的なところで極めて抑えたかたちで描かれ、合間合間にはさまれる高校生編は官能的ながら事の前だったり後だったり最中のところを描かない倚音で、それが読んでいるこちらも熱くノせられてしまう、終盤の爆発するような演奏シーンの数々で解決されます。だからといって幼年編序盤がつまらないかというとそんなことはなく、厳しい練習風景、ピアノをやめたあとの医務室図書室の静けさとそれでもふつふつと感情があふれだすように漏れ出る音楽たち、トラウマについても面白いヒネリが用意されています。

 圧倒的な文章力です。ピアノをテーマとした作品ですが、その様相は、音楽と音楽がぶつかり闘うバトルもの。短い文章の中に恐ろしいほどの熱量がこめられており、背筋が震えるほどの驚きを覚えました。登場人物の配役も絶妙で、ライバルたちの造形は極めて魅力的。クラッシックをよく知らない人も、ひとまずよくわからない部分は読み飛ばしつつ、3話まで読んでみてください。序盤はややアクの強い表現が目につきますが、3話まで読み切れば、きっとこの作品の魅力を感じられるはず。掛け値なしに言って、金を払っていいレベルの作品だと思います。頭一つ抜けた大賞候補作品です。

 

 大村あたる ラブアリスのヴォイド いちおうSFでしょうか。ただ、これといって物語てきな展開はなく、一直線にヴォイドまでただ出来事が進行していくだけですし、ラブアリスの内面に描写についてもそこまで真に迫る内容ではない。こういった設定を考えました、というところで終わってしまっている感が否めないので、もうひとつ小説としてのツイストがほしいところ。

 これはかなり面白く読めました。自身にとってどうにもならない天分と、そこで悩む個人の内面が面白く、他者に自分にと発せられる「きもちわるい」が語りにリズムを作っていきます。視覚・触覚など五感を刺激するちょっとした性のふれあいから、無味乾燥な個人情報を取り出す近未来描写も素敵です。幕開けの男の乾ききった唇やじっとりと湿った手汗、おどろおどろしいピンク色の部屋にむかうルーチンワークから、口を開けた湿度ゼロの橙色の世界へ抜け出す幕引きといったコントラストも美しい。

 攻殻機動隊SAC#3「ささやな反乱」を思い出させるストーリーです。アンドロイドの自我を扱った短編小説ですが、SFとしてはやや踏み込みが甘い印象。なぜこの個体に自我が生まれたのか、なぜ気持ち悪いと感じるのか、この辺りを偶然で片付けてしまうのは作劇上もだいぶもったいない感じがします。もうひとひねりでぐっと深い作品になる余地がありそうです。

 

 芥島こころ(ど)さきちゃんと修学旅行に行った話。どスケベメスボディ女装男子のどニキが書く、すこしクレイジーでちょっとサイコなレズ高校生の主観視点。スタイルとしては大澤や佐藤ここのにも近いものがありますが、徹底的に場面描写を排除して主観に凝り固まった語り口。そのせいで、客観的になにが起こっているのか情景を想像しにくいという弊害がありますが、そこを逆手に取って実はこうでしたー、ってやる仕掛けかな? ちょっと不発かも。もうすこし上手なやりようはあると思います。あと、せっかく余裕を持って締め切りを設定しているので余裕を持った進捗を。推敲は大事ですヨ。

 語り手の知略が光る旅行前にたいして、旅行当日の布団にダイブして痛い目を見る浅はかさ、浮かれポンチ具合のコントラストが良いです。主人公のさきちゃん愛、さきちゃん以外のキャラ読書家さんの面白さが光りますが、さきちゃん自体のキャラは(にこにこ笑ってる子だというのは伝わりますが)具体的に描写されていなくてよく分からないなと思っていると、一夜明けて彼女の頭のなかを明かされる展開がきて、こういう子だったのかと分かる展開が良いですね。

 さきちゃん意外とクレイジーな夢見ますね……。語り手のキャラクターがなんとなく不安を感じさせるのですが、軽いノリで読みやすく、なんとなくさらりと読めてしまいます。なんだか中毒性のある文章で、連載されたら読み続けてしまいそう。定期的に更新されたらいいなと思える作品です。

 

 

大賞選考

 

 では続きまして、いよいよ大賞の選出にいきたいと思います。

 前回同様に、評議員それぞれに三つ推しの作品を出してもらって、その中から選出していくという形を取りたいと思います。が。

 が?

 大賞の趣旨てきに、やはり埋もれた原石を発掘していきたいという思いがありますので、今回、同時期に開催されていたカクヨムweb小説コンテストで読者選考を通過した作品については、そっちのほうでまた頑張って頂きたいということで、後出しになってしまって申し訳ないのですが、大賞からは除外しようかなと。ご了承のほど、よろしくお願いします。

 あ、そういえばどれが読者選考通過したか、確認してなかったわ。

 えっと、インイン、おにスタ、降魔戦記、スリマジェ、ガンキャリバー、あさひ色TOPIC、ケモノの王、剣脚商売。

 個人的には、ガンキャリバーは大好きな作品。剣脚も、あんだけ突飛な設定なのに十分読ませるし、本当に有望な作品が残ったと思います。

 僕はこの条件がなければケモノの王とインタビューインテグラは大賞に推したいところでした。特にケモノの王のほうは単純に小説としての完成度が高く、誰にでもオススメできます。インインはちょっとエッジの効いた作品を求めているクソサブカル向きかな?

 ぼくもケモノの王すごかったです。スリマジェはほのぼのコメディからの戦記物への転調が気持ち良かったですね。

 まあ、このへんの既にある程度評価されているものは、僕たちがなにもしなくても勝手に伸びていくでしょうから、それぞれで頑張って頂くということでw

 うさぎめ……いつか潰す!

 はい~、じゃあそれ以外の作品からそれぞれに推しを三つずつね。

 読者選考通過作品外すと、かなり絞られるな。

 僕の推しは、コンチェルト、易水悲歌、恋人同士な僕たち、の三作品。

 ぼくは、コンチェルト、易水悲歌、ばあれすく、です。

 ぼくは、コンチェルト、易水悲歌、限界集落オブ・ザ・デッドの三作を推します。

 これは……w

 三人とも推しているのがコンチェルトと易水悲歌ですが……並びてきにもコンチェルトで確定かな?

 コンチェルトはね、ちょっと頭一個分抜けてる感じあったね。

 またどこかの馬骨に横から張り倒される展開w

 ぼく、実は審査の前にちょっとだけ読んでて、1話のさわりを読んだ時点では、そこまですごいと思わなかったんですよ。

 冒頭はちょっとしつこさがありますね。

 ルビとかね。ちょっとアクが強い。でも、3話~4話はそういうの通り越して、他の作品とは一段レベルの違う描写ちからを感じたね。あ、これすごいわ、持ってかれたわって感じ。

 演奏の皮を被った異能力バトルでラノベてきな面白さもある。マニアを納得させながら一般にも訴えかけるバランスを両立させています。

 序盤の低速感というのはやっぱり語り手が弾いたり聞いたりしている音楽・演奏に関して具体的にどう、というのがあまり無いからなのかな、という所にあると思います。語り手自身が音楽のよさをうまく言語化できてない感じがあり、それが終盤の目覚めとして現れるんじゃないか、世界が開けた感じがすごいなと思うんですよ。

 一人称小説だから連動しているんですね。訳も分からず視野狭窄的に頑張っていた幼少期があって、本当に音楽に目覚めて視野が爆発的に広がる瞬間。溜めて、爆発。

 ぶっちゃけると、いちばん最初のレズシーンがなければ、だいぶハードル下がると思うんだよね。

 そこは作者の性癖なのでやむなしw

 キャラのイメージなんもないとこでいきなりは、ちょっと敷居が高いね。4話くらいになるともう大丈夫なんだけど、もうちょっと取っておいてって感じがw

 

 さて、それでは次に金賞と銀賞の選定ですが。

 金賞は、この流れだと易水悲歌ですか。

 異論ありません。

 易水悲歌はよかったね。前回から、虎ニキはうまいなあと思ってたけど、まさか歴史もので爆発するとは。

 まずカクヨムの現状を見て歴史ジャンルに的を絞ってきた戦略と、それを実際にやってのける地力が素晴らしい。もともと歴史には強かったんだろうけど、たぶんwebだったりラノベだったりでそれをやっていいって発想があまりなかったのでしょうね。以前から、素はわりと固めの文体なのに、無理してライトに仕上げている印象が少なからずあったのですが、易水悲歌でようやく全てがカチっとハマった感じがあって爽快です。

 易水悲歌やコンチェルトなどは、他の人がやっていない分野に挑戦していて、しかも世界観がしっかり構築出来ているところが凄いです。

 歴史ものって、わりとメジャーどこはやりつくされてる感じあるじゃないですか。たくさん調べなきゃいけないし、やろうと思っても先行作品の劣化版になりがちで。そういう意味で、易水悲歌のおもしろいところは、荊軻っていう名前はメジャーだけどなんかちょっと変なイメージもたれてる人物に焦点を当てたとこにあると思うんですよ。

 刺客・荊軻ではなく、ひとりの人間としての荊軻を描けていますよね。

 荊軻って始皇帝の暗殺に失敗した人ってイメージだけど、別に生粋の暗殺者じゃないし、剣術がすごいわけでもないんですよね。そういう史記の記述を逆手にとって、声で闘う人っていうキャラクターをつくったのは、お見事という感じ。

 

 銀賞一本は限界集落かな。僕はどうせ他も推してくるだろうと思って外してたんですけど。既に運営砲でカチ飛んでいるし。わざわざ僕が推すまでもなく君は充分でしょ、みたいなw

 正直、恋人同士と迷った。

 独自の世界をつくってる、という点で、ばあれすく、限界集落オブ・ザ・デッド、ニャクザ、恋人同士な僕たち、幻想都市百景あたりの中でどれを選ぼうか、と悩んだんですけど、限界集落は初小説ということなのに申し訳ないんですけどゲスな話PV数とびぬけてるので、他のところに光を当てたほうがよいのかなと。

 幻想都市もいいんだけど、ちょっとまだ序盤すぎる感がね。

 僕も幻想都市と、あとミスセブンブリッジも悩んだのですが、完結させて次回大賞を目指してほしいなってことで今回は先送りです。

 銀賞一本、限界集落で異論ないです。

 うむ。

 もう各所で褒められまくってて充分だとは思いますが、ゾンビものっていう散々やりつくされている枠組みの中で独特なドラマを生み出した発想は見事なもの。小説としての完成度はやはりまだまだ荒削りなところもありますので、今後も上を目指して頑張って頂きたいという思いを込めて、銀賞ですね。

 寿命間近のじいさんばあさんが名もなき人まで印象的で活き活きしてましたね。

 もし漫画化とか映像化されたら絵面ひどいことになりそうだけどw

 ケイは美形であってほしいなー、一服の清涼剤。

 ほんとそれ。

 

 あと銀賞一本、僕はどうしても恋人同士な僕たちを推したいんですよ。起爆くんに関しては、ちょっと自分でもフェアに見れてない可能性はあると思うのですが、それを差し引いても良いものを書き上げたなと。

 よろしいかと。第一回のと比べてみたらいちばん成長してるんじゃないですかね、彼は。

 一言に閉塞感ある地方といっても限界集落と恋人同士でまったく別物に仕上がっていて面白いですね。異論ありません。

 書いてる気配があまりないのになんで成長するんですかね……?彼の場合は周辺に影響されやすいので、周りのレベルが上がってくると自然とレベルが上がるみたいなところがあるのかな。

 なにそのSAGA方式。

 小説らしきものを書き始めたのが約1年前の第一回本物川小説大賞で、そこから今、こんだけのものを書けるようになってるわけで、この賞を象徴するような作者。

 趣味の創作小説を続けていく上では、自分のモチベーションを維持したりお互いに影響しあって高めあっていける環境を整えることも重要になってきますから、本物川小説大賞としては今後とも、こういう子をどんどん拾い上げてジャカジャカ輩出していけるような賞でありたいですね。

 

 予告編……?

 

 ちょっと、予告編というか、今後の本物川小説大賞についてなんですが。

 お、なんかあるんですか?

 さすがにレベルが上がりすぎていて本来の素人KUSO創作甲子園という色合いが薄れてきてしまっていて、一度原点回帰したいなという思いが個人的にはあります。

 原点回帰。

 「小説とか書いたことないけど、なんかやってるから書いてみるわ」と思ってもらえる賞でありたいよね。

 まさに。なので、小説を書く基礎力や総合力よりも、もっと素人でも発想一発でワンチャンあるで!みたいな感じにしたくて、とりあえず次回は10000文字未満しばりなどのレギュレーションをいくつか導入してやってみようかなと、ふんわり考えています。

 次回、乞うご期待、と。

 まあ、詳細は追ってということで。ひとまず、第三回本物川小説大賞は、大賞 コンチェルト、金賞 易水悲歌、銀賞 限界集落 オブ・ザ・デッド と 恋人同士な僕たち、に決まりました!評議員のお二方ありがとうございました!

 ありがとうございました。参加作どれもそれぞれ個性があって、面白く拝読しました。

 お疲れさまです。

 以上、闇の評議会、議長の謎の概念でした。

 謎の相槌でした。

 謎のねこでした。

 これにて闇の評議会、解散!撤収~~~!!

 

 本物川小説大賞 新天地編 カクヨム入植大会 - Togetterまとめ