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第四回 本物川小説大賞 -第一次トルタ侵攻- 大賞はヒロマルさんの「雨と巡査とバス停と」に決定!

 女子中高生向けケータイ小説サイト トルタのオープンにあわせて、平成28年4月23日から5月末日まで開催されました第四回 本物川小説大賞 -第一次トルタ侵攻- は、選考の結果、大賞一本、金賞一本、銀賞二本が以下のように決定しましたのでご報告いたします。

 

 大賞 ヒロマル 「雨と巡査とバス停と

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 イラスト:まっする(仮)

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 受賞者のコメント

今回はカクヨムに続き、新規の小説サイトへの投稿企画で、順位や「きゅん」においては並み居る参加者の皆さんの後塵を拝しておりましたので驚きで動転しております。今回の作は絵をお貸しして頂いたまっする(仮)さんのイラストの物語性のある空気感と確かな筆力に引っ張られた形ですので、改めて御礼申し上げたいです。まっする(仮)さん! やりましたよ! 本当にありがとうございます!!

 

 大賞を受賞したヒロマルさんには、副賞として闇の評議会三人による合作イラストが贈呈されます。好きに使ってもらっていいんで自力で勝手に出版してください。

 

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  金賞 karedo 「I see your face before me (あなたの面影)

 

  銀賞 ユリ子 「リコリス

  銀賞 空色あまね 「毒薬とハーブティー

 

 というわけで、初夏の素人黒歴史KUSO創作甲子園 第四回本物川小説大賞、キュンキュンな大激戦を制したのはヒロマルさんの「雨と巡査とバス停と」でした。おめでとうございます。

 

 以下、恒例の闇の評議会によるエントリー作 全作品講評、および大賞選考過程のログです。

 

 全作品講評

 

 みなさん、こんにちは。素人黒歴史KUSO創作甲子園、本物川小説大賞も第四回を迎えまして、これまでのルール無用の無差別級バリトゥードから一転、今回は一定のレギュレーションを設けた変則ルールでの開催となりました。なかなかゲーム性が高くて、参加するほうも読むほうも、それなりに楽しめたのではないでしょうか(自画自賛) なによりも2万字未満の短編しばりというのが、講評するほうとしても気楽でちょうど良かったですね。おのれガンキャリバー。

 さて、大賞選考のための闇の評議会ですが、今回は評議員もガラッと変えまして、キュンのマイスター、謎の長髪イケメン教教祖さんと、謎のあいこさんにご協力を頂いています。

 謎の長髪イケメン教教祖です。

 謎のあいこです。

 謎とは。(?) 議長は引き続き、わたくし謎の概念が務めさせて頂きます。これまでは公平性を重視して、趣味嗜好のわりと異なる三人という条件で評議員を招集していたのですが、今回はキュンキュン重視のレギュレーションということで、評議員全員恋愛脳という偏ったメンバーで進めていきたいと思います。よろしくお願いします。

 恋愛脳です。よろしくお願いします。

 よろしくお願いします。

 さて、それではひとまずエントリー作品を投稿された時系列順に紹介していきましょう。

 

 こむらさき 「マヨナカデンワ遠恋ノススメ」

 ノリと勢いの本物川小説大賞、全体の流れを決定づけがちな重要ポジションであるトップバッターですが、今回はキュンキュン勝負だって言っているのに胃がキュンキュンする話をブッ込んできやがりましたね。

 全然遠恋ススメられないのでは!?!? こう…キュンというかこう…胃がシクシクする!!内臓にクる!!というお話でした。ミサキくんがミサキくんとしてあり続けなければならないみたいな精神面の描写とかほんとウッ…クる…て調子で面白かったんですが、三十路越えの彼女の状況下でミサキくんに甘え続けていていいのか? なんてところも考えてしまったりして読んでいる中で妙なリアリティちからに引っ張られた感じでした。キャラ描写などもう少し物語に没頭できる要素が欲しかったかも。

 女の子なんだけどオトコノコをやってる主人公の一人称掌編。さらっとした読み心地のわりにズンズン胃にくるキュンでした。誕生日には一番にメッセージがほしいみたいな、中高生ならかわいいけどアラサーでそれはちょっとねみたいなイタさとかがリアル。掌編といった趣でさくっと読んでしまえる反面、短さの面もあってなかなか残りにくいかなと思ったので(胃には来る)、題材的にはまだまだ膨らます余地があるのかなと。

 前回のネズミー同様(ていうか同一人物だよね)年上のくせにクソガキな彼女のノーヒントクイズの話。同じ系統の話としてはネズミーのほうがお財布も部屋の鍵も彼女に握られているなどのシチェーションてきな絶望度が高かったので、比較するとちょっと小粒だなという感じ。小噺としては面白味もありますけど、小説にするにはもうひとつふたつ、なにか道具立てやツイストがほしいところ。 

 

 大澤めぐみ 「ケダモノの女王」

 ケモノの王要素はありません。

 全編きっちりファンタジーでまとめられた、ファンタジー好きにはたまらん作品でした。ブラコンシスコンとか旅とか寄生する蜂とかモディファイアとか食いつき要素モリモリ。シスコン弟アーロンから語られる唯一絶対正義の姉・アニーの描写とか本当美しいんだろうなって感じでいいですよね(語彙がない)。終盤でアーロンのネタバレが起こるあたり、アニーの理論派潔癖性のキャラ設定がこう…アーロンに限り崩壊するところとかほんとこう…よく活かされていてさすがだ〜! となるばかりです。キュン。ただ物語の内容的にはどちらかというとメリーバッドエンドてきな要素が強いかなというところで、ハピエン厨てきにはそうであるならばもうちょっと2人がラブい要素をくれ!!!!って欲しがっちゃう感じですね。

 一種のディストピア小説かなと思いました。現代もの多めの大澤さんにめずらしくこれまでにないかっちりファンタジーした世界観のお話なのですが、長さのわりにするっと読み込ませてくれます。美しく世界最強の魔方師のアニーと、その信者たる弟のアーロン。二人のやりとりが密やかでどこか甘やかな感じでキュンです。読み進めていくうちにふたりの在り方のいびつさというか、ぶっとび具合が明らかになってきて、アニーの天才故の合理的思考回路にゾっとするところもありました。弟の一人称ですすんでいく故に後々明らかになってくる二人の関係性のギミックとか、はたまたわかる人にはわかるちょっとしたパロディ要素もあったりして、自分の得意とする文体で小説という構造そのものをトリックにしてくるところがさすが大澤節というか、こなれてる感じがあります。 個人的には弟くんが長髪イケメンでこう実にグッド。 

 

 seal 「失恋童話」

 アンデルセンを主人公にした、自身の創作物である人魚姫との悲恋(?) ちょっと物語の構造的な規模に対して文字数が少なかったかな、という感じで、説明しきれていないところがあるような印象。僕に前提とされる知識が足りていないだけかもしれませんが、ところどころ唐突でポカーンとさせられてしまうところがありました。でも、最終的にポカーンとさせられて終わるのはクトゥルフのフォーマットっぽいところもあるので、ひょっとするとそういうものなのかもしれません。

 アンデルセン×クトゥルフのお話!…でしたがすみません、クトゥルフが全然わかりませんで…しかしクトゥルフがわからずとも大変面白く読むことができました。なんていうんでしょう、メタい設定のキャラとか語っているはずの人間が実は物語の渦中の人物だったみたいな、入れ子人形ぽい構成が個人的に大好きなので面白かったです。読後感もよさ…イラストの静謐さとも合致した雰囲気の中流れていく物語でした。キュン要素はよわめ。 

 実はクトゥルフというものを寡聞にして存じ上げなくてですね……なのですが、このお話、とっても面白く読めました。デュマがトリックスターというかちょっとメタなポジションにいて、夢と現実の境目があやふやになる。実在の人物や実在の物語を踏襲しつつクトゥルフ要素を盛り込んで、かつ、イラストのちょっと影のある雰囲気とあいまって、綺麗にまとまってるなという印象でした。ただちょっと身構えちゃうので、読者の門戸は狭いかもしれないなど。悲恋のイメージが強くてキュンは弱めでした。

 

 ロッキン神経痛 「空を泳ぐ鳥」

 トルタ、見て。

 「トルタ。見て!」で話題をかっさらった空を泳ぐ鳥、すごく面白かったです。ジュブナイルというのか、真正面からヤングアダルトものとして書いてきていて、すごく爽快でした。キュン。いずれ失われることがすでにわかっている飛行船の生活や人々のあきらめみたいなものと、そこから飛び立っていくことを選んだボーイミーツガールのこの熱量差みたいなものがちょっとセンチメンタルでもあり、また作りこまれた世界観がすごくよかったです。一話二話の時点でどういった終わりになるのか全然読めなかったんですが、その意味でもスカッと裏切られました。

 すっごく良かったです〜〜!!イラストが正に物語の一場面を切り取ったような相互性があって凄くいい… 。 今の地方都市が抱えてる過疎ったり衰退したりな要素も孕んでいてファンタジー世界だけれどそれにとどまらないようなお話作りで胸に刺さりました。ギンザ通りの描写とかわかりまくる〜〜フジさんいつまでも元気でいてくれ〜〜!
個人的には盛り上がってきたところで了になってしまったのがもったいないなという感じでした。ドキワクもっと感じたい!風を感じたい! 

 これはソーヤさんのカバーイラストのちからが非常に強いですね。文字だけだったらこの世界観をスッと呑みこませるのは難しかったでしょう。とても面白いのですが、飛び立つ目的や動機付けとか、逆に船の体制側(?)は何故それを止めようとするのかなど、各ポジションのキャラのスタンスが見えてこないところがあって、ちょっと歯抜けな印象も受けます。でも、目の前に広がる無限の大空があり、そこに飛行機があれば、少年と少女が飛び立とうとするのは必然という感じもあって、多くは語らないほうが逆に良いのかな、という気も。意図的に冷静に読まなければそんなに気にならないかもしれません。ただ、全体的にはきゅんきゅんというよりはワクワク路線かな?

 

 ゼータめぐきち 「ディストピア / ユートピア

 マトリックスや楽園追放におけるディーヴァてきな世界でしょうか。文章それじたいにはこなれた感じがありますが、物語として見るとちょっと物足りないなという感じがあります。もうちょっと主人公が能動的になるような動機付けなどがほしいかも。あと、今回のレギュレーションてきには表紙絵との整合性などでもあまり加点がつかないかな。 

 物語がムクムクきたかってところで終わってしまった感があるので、もっと盛り上がりがほしかったかも。データと実体、舞台の星と別の星。諸々の設定が開示され切っていないのがもったいなかったとも思います。 

 設定が細かなSFライトノベルの趣で、面白く読めました。文章もサクサク~としていてとっかかりなく読めます。が、ほんのすこし入り口に足を踏み入れた、といったところでお話が終わっていて、また、メタ的な視線と物語の主人公の視線が結構クロスしてしまうので、読者としては、説明された部分と説明されなかった部分とがいまいちうまくつながらないのかなと思ったりしました。 

 

 起爆装置 「決戦兵器クロイン」

 キュキュキューンギュギュギュギューン♪ じゃあないんだよ。トルタという語を含めてツイートすれば、だいたいなんでもRTしてくれる懐の深いトルタ公式くんにも頑なに無視されている、今大会での一番の問題作。かくぞうの超硬派なカバーイラストからこの物語を生み出す脳の回路が心配になります。でも、無心で読むとクロインが先輩にボゥウウウウウウンしてしまうポイントなんかもちゃんと共感できて侮りがたい。

 ボゥオオオオオオオオオオン!!キュキュキュギュィーーン!!!
 物理のちからでキュンをゲット!決戦兵器クロインちゃん強い実に強い。突拍子のないような設定なんですが構わず読ませる大いなるフォースが凄かった……。ゲラゲラ笑って読みました。1話完結かと思いきやライバル出現の2話、全てが明らかになる3話の三部構成なのがまた予想外で笑いました。最後まで勢いが落ちることなく読了感も爽快です。

 三話で浮浪者の首チョンパとかも説明づけしていますけれど、僕は個人的にはそういうのはなくてもよかったかなぁって感じがしないでもないんです。どっちみち苦しいなら下手に説明づけせずに勢いでいってもよかったかな、と。でも、ラストシーンは画的に爽快感があってとてもいいです。

 キュキュキューンンギュギュギュギューン投稿された瞬間のざわ……感が忘れられないんですが、個人的にはブラックジョークというかナンセンスものって大好きなのですっっっごく面白く読みました。浮浪者の首を刎ねまくる恋する決戦兵器クロインちゃんの先輩の互換性をいぶし銀と評するところとか最高にクールボゥオオオオオオオオオオオオオオオオン
 キュンのつけどころはかなりはっきりしていてすごくいいですよね。

 

 有智子 「メディエーター」

 一筆きゅん。イラストでも文でも参加のハイブリッドファイターです。アダムくんもさることながら、クロエの描写もいいですね。お話としては連載ものの第一話って感じで綺麗にまとまっています。メディエータ(仲介者)という設定が良くて、超常のものたちが倒すべき敵ではなく、飽くまで交渉相手であり、倒すべき敵はまた別に居る、というところに面白味があります。<境界>と特殊捜査課との関係性とか、先の展開のイメージが膨らみますね。続きを書いてもらいたい作品。 

 長髪イケメン!  <境界>に属する長髪イケメン能力者アダム (待ってくれ、この肩書きだけで強すぎではないか?) とその助手クロエが依頼を受けて問題を解決!というストーリーなんですが凄くいい〜〜!  アダムが本当にイキイキしていていいですね。情景描写も綺麗にまとまっていて、イメージ連想するのに難くないというか…イラストちからもプラスされて本当に情景が目に浮かぶよう。物語としてもきちんと完結していて爽快や〜〜最後にちらっとスパイスとしてキュンが投入されていたのもポイントが高いです。キャラが魅力的なので<境界>に属する人々のバックグラウンドがもっと知りたいですね。続編を期待しちゃいます。

 長髪イケメンはいいぞ。

 はい。

 

 姫百合しふぉん 「0.9999999999999999999999999」

 今回はホモじゃなくてレズです。タイトルの読み方は「いちよりすこしちいさいかず」 だそう(うろ覚え)

 百合! 思春期特有の情動が感じて取れてムズムズキュンキュンしました。確かな確信がないと言えない、信頼している相手に拒絶されたら耐えられない……というの、誰もが一回は体験しているものなのではないかな〜となんとなく自身の経験を重ね合わせてしまうというか、感情移入せずにはいられない作品でキュンキュンしました。作品としてきちんと完結していてなおかつイラストの要素回収度も高くてよさがあります。
  綺麗な百合ものとして完成度が高いと感じました。かぎりなく一に近いけれど、一でないと意味がない女の子たちの話。繊細な心情描写と高い文章力もさることながら、イラストを元に小説を組み立てるという大賞規定をしっかりクリアしてるなと思いました。楽譜のくだりは多少強引かなと思いましたが、そこまで違和感を感じさせないストーリー展開です。

 淡々として簡素ながらも耽美な独特の文体の魅力は相変わらず。お二方からもありましたが、本作で最も特筆すべきは、カバーイラストの要素の再現性でしょう。一見して「なんだこのシチェーション?」という表紙絵の状況に無理なく話を運んでいるのは追い込み漁といった趣で、高い技量を感じさせます。回収し忘れている要素は腕章ぐらいかな?きゅんきゅんちからも高め。 

 

 時帰呼 「鳥の記憶」

 小説というよりは詩に近いような感じもあります。全体的に文章じたいは綺麗で上手くて、電話を切る間際のやりとりなど、細かい部分でのきゅんポイントはなかなか高めですが、いかんせん短く、展開もあまりないので、小説という尺度ではちょっと不利かも。あと、僕はカバーイラストのイメージが完全にファンタジー世界だったので、普通に現代が舞台っぽいのは意外な感じがしました。

 こういうの弱いんで本当に…彼女……。最後の描写で彼女が追憶の中にいることが判明するんですが、場面転換(時間の経過?)に若干ついていけなかった感がありました。判明した後にタイトルの意味が付加価値を持ってストンと落ちてくるのは良かったです。

 多分今はもういない彼女との思い出の話で、全体的にキュン度高めでした。後半のモノローグでネタバレというか、ああ恋人はおそらくもういないんだなということを読者ににおわせてくれるんですが、一曲分の歌の詞のようというか、ダイジェストっぽさはあります。もっと行間をかきこんでみてもいいのかも。

 

 起爆装置 「どうか呪いよ解けないで」

 クロインでおいおい起爆装置と思っていたら、こういう正統派なものもブチ込んでくるから油断なりません。こちらも小説というよりは詩に近いような感じですが、イラストの再現性が高く、長めのフレーバーテキストといった感じ。今回の大賞の趣旨に合致していますね。

  異種間同士の夜の密会。良質な詩を読んでいるような感覚でした。ページの裏側を読ませるのではなく物語の中、静かに止まった時間を楽しむよがこの2人の幸せなのだと言い切る物語描写がいいなあと思いました。

 こちらのカバーイラストからこういった異種間恋愛ものに発展するとは思わず意外でした。これ以上進みようのない閉塞感みたいなものが、絵とマッチして綺麗な情景に綴られているのがよかったです。会話が地続きなのがすこし伝わりにくいと感じました。ロマンティックな空気感がいいですね。

 

 左安倍虎 「モーフィアスの告白」

 根本的な文章力が高いです。他の創作がメインのストーリーに絡んでくるという形式は、虎ニキの別シリーズであるファンタジー警察にも通じるものがあって、なにかこの形式に思い入れがあるのかなぁという感じもする。ただ、やはり構造的に冗長になりやすいので、説明をどこまでするかというバランス感覚は難しそう。あと、メタファーとしてもモーフィアスはビジュアルが強すぎてどうなのかという感じは若干あります。どうやってもその後のビジュアルイメージがムキムキハゲ親父になってしまうので。

 京子〜〜ウワーン!!  映画で京子を感動させようという序盤の流れからまさかああいうラストになるとは…ほろりと泣いてしまった……。サト君いい奴だし全体的にみんないい奴ですよね。ひとつ言うとすれば、物語後半で希美の実体が明らかになりますが、おそらくそうなると京子の無色透明でありたいという思惑とはかけ離れた挙動を物語中でしていることになると思うんですがそれでいて京子を振り向かせよう! という趣旨で映画を選び続ける男子たちの構図がちょっとウーン……。京子の一人称視点なのでもしかしたら噂からDVDから全部狭山君演出なのかもしれませんが、なんとなくそこらへんが気になってしまったのがちょっとだけ残念だったかなて思います。

 淡々とした文体なのですが、きっちり話の組み立てがあって、クライマックスが設定されているという短編でありながら様式美を感じる一品でした。伏線もあり、ミステリ仕立てで、カタルシスが得られる終わり方です。マトリックスを視ていたらもうちょっとしっかり楽しめたのかもしれない……。途中からどうしても状況の説明や、理屈で納得させてしまうというか、作者側による終息地点への誘導がちらっと見えてしまって、難しいところではありますが、もっと自然な形で京子の気持ちの決着がついたらよかったのではないかなと思いました。

 あと、これは完全に僕の個人的な事情で申し訳ないのですが「自分には心臓の病気があるから、自分と付き合っても相手を幸せにできない」あたりで、某超合金さんがフラッシュしてしまってダメでした。

 

 karedo 「I see your face before me (あなたの面影)」

 三世代(四世代?)にわたる女の子たちの恋の物語。若干のミステリテイストで最後に謎解きに相当するシーンがありますが、ミステリとうたうにはそこまで推理はカッチリはしていないです。飽くまでそういった推測も可能である、という程度。

 これすごくよかったです。三世代にわたるひとつの恋愛を扱ってるんですが、とにかく描写が細かくて美しく、筆力があります。関西弁や時代背景なんかも違和感なく。話もちょっとしたミステリー仕立てで、張られた伏線もうまくて続きをぐいぐい読ませてくる。ラストの締め方まですっきりしていて総合的にレベルの高い作品だなと思いました。

 泣いてしまった〜〜ウワーン!  すごく良かったです……。三世代それぞれのそれぞれが収束していく構成、無理のない物語運びで見事の一言です。あと女の子たちが可愛い。何度も言いますがハピエン厨なのでひいお婆ちゃんの恋が…この…こんなことって…とちょっと持ってかれすぎたところがあります。ひいお婆ちゃん…ウッウワーン!!

 あいさん落ち着いて。出てくる女の子たちはどの子もみんなかわいらしさがあって、非常にポイント高いのですが、個人的には本村がイケメンとまではいかないまでももうちょっと気持ち悪くなかったらなぁと思ってしまいました。かわいい女の子は描けてもかっこいい男の子は描けないというか、かっこよく描きたがらないのは、なにかしらの気恥ずかしさがまだ残っているのではないでしょうか。歯が浮くぐらいにかっこよく描いてしまっても意外となにも言われませんよ♪

 

 咲花ぴよこ 「栽培彼女」

 栽培してつくる彼氏のはずが、娘とか言い出す。でこれが不思議なことに、妙に生き続ける、といったファンタジーミックスの現代もの。キャラクタたちは個性があってかわいらしいのですが、終着点を見失ってしまった感じはあります。ちょっとラストはわかりにくいかなと思いました。イラストを元にしたら、桜の花びらをふりかけたんだなっていうのはわかるんですが、どうしてそうなってしまったのかといったことは読者の想像に任されてしまって、ちょっと投げてる感じが否めないかなと思いました。

 流行りに乗ってわたしも欲しい、みたいなのって必ずありますよね。なんというか行動は間違いなく12歳のそれなんですがそれにしては地の文が大人っぽすぎて、でも栽培された彼女には子どもっぽいなんて言われていてそこがちょっと個人的に受け入れるのに時間がかかりました。全体としてはサクッと読めて良かったのですが期限が切れたことについてもう少し言及しても良かったのかなと思います。

 全体的に駆け足な印象ですね。どれかひとつ、フォーカスをあててもう少し掘り下げるエピソードがあったらよかったかもしれません。物語てきな山場としては家出のシーンあたりになりそうかな。そのへんで、なにかしら主人公に心境の変化があるだとか、ふたりの関係性に変化があるだとか、そういう変化を見せるともっと物語っぽくなるのではないかと。

 

 ヒロマル 「雨と巡査とバス停と」

 雨の夜にだけバス停にやってくる女の子と、その真正面の交番の新人巡査の交流の話。随所に散らされたメタファーが最後にギュッと収束するお話の構造は気持ちが良いです。テーマ性もはっきりしていますし、理不尽も飲みこんで生きていくしかないみたいな前向きな力強さも清々しいです。上手にまとまったティーンズ向け文芸という感じで、今回のいちおうのレギュレーションである中高生向けという点でもばっちりです。

  タイトルからは想像だにしない歳の差キュンストーリーでした……めっっっちゃ良かったです…… 。歳の差最高! 若くて強い警官最高! 可愛くて危うい、何かを抱え込んでいっぱいいっぱいになる思春期の女の子最高! 話の盛り上がりや2人の心境の変化により関係性が徐々に詰まっていくところとかクライマックスの盛り上がりとエピローグまで本当たまらんです。キュンキュン!  ハア…ハア…良かったです……。語彙とは……。

 これめっちゃ面白かったです~~~~~!!!! なんじゃこれ!!! めっちゃおもしろいやんけ~~!! どうなることかと思いきや!! ほどよい分量と設定の活き方がいい。サヤカの謎、抱えてるもの、巡査の人となり、事件といった要素が綺麗にまとまっているし、非常に読みやすく、良かったです。九州訛りがネイティブなのもポイント高い。強いて言うならタイトルがもうすこし読みたくなる感じだともっと読者の敷居が低くなるのではないかなと思いました。

 

 こむらさき 「不思議な頭のお隣さん」

 これはすごいですね。これまで胃がきゅんきゅんな話を連発してきてくれていたこむらさきが、とうとう真正面からの正統派きゅんで攻めてきてくれました。登場人物がたったふたりと最小で、たったふたりしか居ないのにふたりとも常軌を逸してネガティブだから単純な話が何十年もかかってしまいます。

 妖精のことを良き隣人として、そのまま作中でも「お隣さん」と表現していたのがなんかめちゃ可愛くてなんだこれ可愛い! 可愛いな〜〜〜! 一貫して優しい童話やおとぎ話の世界のような時間の中で物語が進行していてとても穏やかな気持ちで読了することができました。遠恋ノススメでのシクシク具合が嘘のよう……ウッ……。 ハピエン厨てきにも2人が結ばれて素直に幸せだな〜と感じられるラストでした。 

 最終的にハッピーエンドになってよかったです~~こちらも異種間恋愛です。ファンタジーではありますがそこまで非日常でもなく、ご本人がまほよめっぽいものを目指していたと仰っていた通り、かなり長い期間のお話になっているのが、異種間恋愛の醍醐味たる寿命の差を生かしていていいなと思いました。すっきりした読後感やイラストとマッチした文章内の描写もよかったです。 

 おわりのほうはちょっと蛇足感がなくもなくて、「最期の告白」で終ってしまってもお話としては綺麗でよかったかもしれませんが、綺麗じゃなくても一緒に生きていく、みたいなテーマ性とリンクしていて綺麗にまとまってないところが逆に良い、みたいなところがあります。

 

 yono 「何かを忘れた話」

 恋愛SSらしいのですが、ちょっと短すぎて、さすがにどう解釈するのが正解なのか情報が足りない感じ。まあ、好きに解釈すれば良いということなのでしょう。ほんわかとした文体なのに、なんだかゾッとさせるような引き、というのは面白味があるので、同じコンセプトでもう少し長めの話も書けるかな、と思いました。

 文体は軽いのに薄ら暗い顛末のお話。カジュアルにダークで、サンホラめいた雰囲気を感じ取りました。 絵から想像できない調子のお話だったので、いい意味で裏切られた感があります。キュン要素はよわめ。

 ちょっとなぞかけというか、マザーグースみたいな寓話的なお話。ちょっぴり不気味さもあるんですが、何度も読み直してしまいました。恋愛SSとのことでしたが、キュンポイントはちょっと薄かったかなと思います。

 

 Enju 「Self to me」

 水鉄砲要素とセーラー服要素はどこに飛んでいったのでしょうか。表紙絵の要素回収という意味ではちょっと投げやりな感じがしないでもないですが、お話としては勢いがあってなかなか楽しいです。特に旅立ってから飛騨の山中でロストテクノロジーに出会うところは展開がミハイルシューマッハかよってぐらいに速くて逆に気持ちがいい。

 冒頭でドッペルゲンガーとのアツくて強いバトルものか!?と思ったらボケとツッコミのお話でした。 大和くんとの掛け合いがテンポ良くて仲良さそうで実に良いです。仲良しのままでいてほしい。1話で全く触れられなかったボケツッコミの要素が話の主軸となるので、初見でそれに少々面食らうところはあったかも。 

 結構とんでもない設定からはじまるんですけどまあそれはそれとして(右から左に置く)就活中に山に登りにいったら、ロストテクノロジーによる自分と対決する羽目になり、走馬燈の中で自分の人生を振り返る、自分との対決・自分探しの話。完全な現代設定と非日常的な出来事とのミックスが、個人的には九井諒子てきな面白さがあってよかったです。キュンキュンという感じではなかったのですがヤマトくんは間違いなくイケメン。

 

 蒼井奏羅 「IF」

 これちょっとよく分からなかったんですよね。たぶん、視点切り替えによって真相が見えてくるみたいな仕掛けだと思うんですけど、僕の読解力の問題なのか、そもそも情報がちゃんと提示されていないのかは不明です。なので、ちょっと評価が難しい。ライトな感じでつっかえずにサラサラと読めるので、文じたいは上手だと思います。

 多重人格の1人の少女が自己統一して前に進んでいくお話…だと思うんですがいかんせん読解ちからが足りませんでした…。2人いる描写が為されていたが実は最終話で1人であったと判明するギミック(と読んだ)自体は面白いなと思いました。

 きっちりとした説明はされないまま終わっているので推測になっちゃいますが、多人数視点なんですけど、女の子の中に複数人格があって、それが飛び降りることで統合されてしまうのかなと。詩的な雰囲気で、リストカットオーバードーズなど、題材は結構一時期はやった自暴自棄系なのであたらしさはないんですが、そうした様式美への陶酔というか、オマージュを感じました。

 

 蒼井奏羅 「僕と君と夏の雨」

 雰囲気がとても良いですね。謎を置き去りにしたままズンズン進んで行く感じ。世界観は全然違うんだけど、ICOとかワンダと巨像みたいな印象を受けました。ただ、やっぱりラストがちょっと唐突かなという感じがあって、伏線の張り方などをもっとしっかりやると読者フレンドリーになるのではないかなと思いました。エンタメとしてはちょっと読者を突き放しすぎかも。

 真夏の昼寝についてくる背中がちょっと寒くなる夢……のような印象を受けました。夏の季節設定やラムネなど何となく前作と通ずるところが……なかった!  じわじわと広がっていく冷気というか、主たるところが見えなくてちょっと居心地が悪いというかお尻の位置を定められないというか、モゾモゾした気持ちにさせられました。もう少し明確な答えっぽいものがほしいと思ってしまうのは欲張りでしょうか。 
 「IF」のほうと雰囲気似ているので、関連性があるのかも…?と思いながら読んでたんですがそんなことはなかったぜ! 随所にちりばめられた夏らしいモチーフと、ちょっと猟奇的な展開で締められるのが白昼夢というか、夏っぽいホラーみを感じます。

 

 綿貫むじな 「眼鏡のお姉さんと私」

 レズですね。色々と出来事は起こるのですが、それぞれの出来事がなにを象徴しているのか、物語の中でどのような役割を果たしているのか、みたいな構造的な部分を見るとちょっと弱くて、つらつらと書き連ねているという印象があります。現実には出来事がなにかを象徴していたり、なにかの役割を果たしているということはなく、出来事というのはただ起こるだけなので、そういうのがないことがリアリティと言えなくもないのですが、掌編~短編しばりですから、それぞれに意味づけをしてコンパクトにまとめていったほうが物語としては濃密になるのではないかなぁという気がします。

 美人で色々知っていて、でも男っ気はそんなになさそう〜な眼鏡のお姉さんとデート! おいしいシチュですよこれは!!  何でも知ってる美人なお姉さんに憧れてドキドキしちゃってあれ?私何言ってんの? 何でデートしてんの? てこときっとあると思います。時系列通り物語が進行していく印象があって、分かりやすくもありやや単調かも…とも思いました。

 眼鏡のお姉さんは……いいぞ!! という意気込みを強く感じました。スタイルがよくてクールそうだけど感受性豊かで頭がよくてコーヒーのおいしい喫茶店の常連さんな眼鏡のお姉さん、ちょっとした疑似恋愛シミュレーション感があります。あるいはそういう意図で書かれているのかもしれないですね。 

 

 不死身バンシィ 「アザラシとライバル」

 ぶっちゃけ少年アシベですね。表紙絵のアザラシのディフォルメされた印象から「いやそれナマモノなのかよ!」というところでまず笑ってしまいます。この表紙絵の印象でリアリティレベルの設定がうまくいっているところがあって、中身は完全に知的生命体なのですが、まあこのアザラシならこれぐらいのことはやるやろなぁと雑に納得させられてしまいます。

 あざらし。

 ただのアホギャグ路線かと思いきや、最後のほうではシリアスに向き合うところもあって、全体的にコメディとしてお話の水準が高かったです。

 エリオットかわいい〜〜!タイトル通りアザラシと主人公が意中の相手を取り合って戦うお話。ん?タイトルからいくと主人公はアザラシ?? 個人的に幕間表現があざらしなのめっちゃツボで笑っちゃいます。

 あざらし。

 きちんと考えるといやいやこれはねーよww ってなると思うんですがポンポン読ませられてしまいました。アザラシちからに押し負けた感があります。

 これすごく楽しかったです~! わりと最初から最後までノンストップ畳みかけボケツッコミみたいな感じで、休まらない。整合性とか終わりのシリアスエピソードとかは単体で見ると弱いかなと思うのですが、すべてを勢いが牽引する華麗なるエンタメ小説でした。

 あざらし。

 リュウタの黒王子感が光っててよかったです。エリオットはかわいい。アザラシ……かわいい……。

 

 不二式 「ストロベリータルトの季節」

 小説というほどお話としての展開はなくて、物語の中からワンシーンだけを切り出したという感じ。絵の要素というか、雰囲気はよく再現できていると思います。短いのですが、そのわりにちょっと冗長に感じられる部分もあって、この規模だと逆にもっと余分な情報はそぎ落としたほうがソリッドな感じに仕上がるかなぁとも思いました。

 イラストに即したすんごい可愛いカップルのとあるワンシーンという感じでした。冒頭と最後の悟くんの描写がこう…彼女目線の彼氏!って感じですごくいいですね…キュン。

 彼氏という絶対的イケメンをあますところなく描写していて、文章なのに少女漫画っぽく思えました。事実すっげーイケメンなのがひしひしと伝わってくる、キュン純度がかなり高くて実によいです。イラストとも合っていて、お話自体はごく短めなのですが、余韻があります。

 

 kakuzou 「僕の仮面がとれた時」

 こちらもイラストでも文でも参加のハイブリッドファイター2。文字数てきにはわりと長いですが、お話の筋としては至ってシンプル。まあ恋愛ものなので、筋でツイストしてもあまり良い意外性は生まないのが常ですから、そこで仮面という道具立てを導入して差別化を図ろうという試みかな? お話としてはうまくまとまっていますが、仮面のくだりを全部抜いても成立してしまうので、もっと効果的な使い方もあったのではないかなという気もします。あと、単純に文章が読みにくい箇所がところどころあるので、そういった基礎力はもうちょっと訓練が必要かも。

 誰しもが対人関係においていつの間にか素の自分ではないよね〜人間と人間の社会を円滑に進めるためにはね〜。というリアルな題材ですよね。中高生の頃って正にそういう猫をかぶるというか仮面を身につけることを覚え始める時期だと思うので題材設定てきにも食いついちゃうな〜と思いました。ただ物語的には仮面要素が絡みきっていないような印象も受けたので、もうちょっとあざとく仮面要素を振りかざしても良かったかもと思います。 

 ティーン向けというよりはしっかり現代文学の文章で、つくりもしっかりしていて、面白かったです。仮面というのが物理的なものではなく社会通用上のペルソナであって、でも話の筋にかかわるほどの大きなメインテーマにはならなかったのはちょっと残念ですが、八重との最後のやりとりではそのへん活きてきて、よかったです。イラストが結構抽象的だったのでどう作ってくるのだろうと思っていたのですが、そのへん上手だなあと思いました。 

 

 宇差岷亭日斗那名 「終わった世界、花の海」

 非常に雰囲気のある文体で、ナツメのイラストの気だるい終末感に似合っています。文章じたいは上手いし、まあイラストの雰囲気はよく再現できてるかもなぁ、くらいの侮った感じで読み進めていたのですが、これ、ラストの三行があるだけで物語が一気に拡がりを見せていて、評価がグンと上がりましたね。迎えにきたのはどちらだったのかとか、どっちだったとしてどう思うのかとか、色々と余韻を残す引きでとても良いです。僕が単純にハッピーエンド脳だっていうのもあるかもですが、ラスト三行のおかげで全体の印象が格段に良くなっています。

 めちゃ好きなんですよね〜〜〜〜こちらのお話ね〜〜〜〜良い〜〜〜〜 。割とタイトルをまんま表したようなお話で、退廃的な世界にぽつんと存在する部屋と彼女の構図が陰鬱ぽいんですけど温かくもあって良かったです。終わり方もめちゃ好きですね。すごく印象に残る〜〜〜〜あんた一体どっちなんだ〜〜〜〜! 

 退廃的な舞台設定とアンドロイドの女の子というのが、イラストと合っていて素敵でした。ちょっと前の電撃文庫ライトノベル感があってその辺がキュンキュンくすぐられる~!個人的にはもっと長めの文章でぜひ読みたいと思ったお話です。

 あと、物語には直接関係ないのですが、フォントサイズがやたらと小さくなってしまっているのはたぶんなにかの事故では?

 

 左安倍虎 「聖紋の花姫」

 易水非歌でもそうでしたけど、虎ニキはオーソドックスな世界観にひとつだけフックをぶち込んで独自の設定を引き立てるのが得意っぽいですね。今回は調香師が非常に高い地位と信頼性を持つ独特の世界設定ですが、途中から調香というよりは単純に薬学の知識にスライドしているので、そこまで設定が生かせていないかもなぁ、という感じもしました。花がわりと重要なモチーフになっていて頻出するので、全体的な印象が鮮やかで画面的な華やかさがあって、表紙イラストの雰囲気にも実にマッチしています。

 王道ハピエン厨なので大変良い結末でした……良かったです……。 ファンタジーなところとか花の名前がポンポン出てくるところとかラザロの実直なところとかセリムカルナの自己犠牲を厭わないところとか薬師長の小者なところとかそれに躍らされる国王とかね!!! まさに王道!!! 王道ファンタジー!!! ラザロが古文書の謎を確かめるためにカルナを人柱にしたとかセリムが冒頭でよくあることだと派手にぶっ倒れたのでまたばったばったとぶっ倒れるかと思ったらただの杞憂だったとか細かなところで気になるところはあったんですがそれでもめちゃ楽しく読みました。キュン。 

 がっつりファンタジー小説で、世界観がすごくいいです。同作者の作風の特徴である骨子がしっかりした話づくりは安定していて、まとまりがよく完成度が高い。短編ということでたぶん心もちスリムにされたんだと思うんですが、スピード感があってよかったと思います。実に個人的な感想ですが長髪イケメン王子、最高にグッド。

 

 大村あたる 「腹の底で眠る」

 これもちょっと分からなかったので、評価が難しいです。僕が理解できていないだけの可能性はある。明らかにファンタジーな表紙イラストに対して現代日本が舞台っぽい話というギャップは狙っているのかどうなのか。出来事はなんらかの比喩なのか本当に事実なのか、なにをどのように解釈すれば良いのか、という部分でヒントが少なすぎて、ちょっとこれは描き切れていないのではないかなぁという印象。ポカーンとしてしまいます。

 少し寂しいんですが温かさがあるお話でした。印象としては、多少強引に「イラスト」と「恋」に結びつけすぎなのかなあと思いました。 竜なのか実は本当に機械なのか、恋と形容するよりどちらかというと情動の方では…とか。とか。

 なんだかびっくりするくらい硬派なお話だったので見入ってしまいました。雪深い町の描写や語り口は丁寧で、落ち着いていて、ずっしりしています。この謎の竜の機械とか、それのある場所とか、ちょっと異世界感があるんですが、結構地の文章が現代的なもので、突飛な印象が強く出てしまったかもしれない。永遠に失われてしまう前に原点回帰するというのはちょっとしたロマンというか一種の美学なのかもと思ったりしました。

 

 ユリ子 「リコリス

 これ強かったです。頭が良くて尊大で自信過剰で、でも馬鹿で傷つきやすくて弱くて脆い女の子たちの話。自分も書きたかったような話を先に書かれてしまったみたいな悔しさがあります。

 今更気づいたんですけどタイトルまんま話の根幹ですね! アア〜〜! すごく好きなお話でした。制服を武器と鎧にしてキラキラを纏う女子とか武器にホイホイ引っかかるロリコンとか頭がいい・悪いの意味するところとか思春期にありまくる自分の気持ちをぶつけまくっちゃうところとか アア〜〜!! 読んでいる間じゅうぼんやりした2人にやきもきしておりましたがリスちゃんをぼやけさせる意図があまり汲み取れなかったのが読解ちからに無念を感じるところでした。

 思春期特有のドロドロした思考回路みたいなものががっちり描写されていて、甘酸っぱいキュンみがありました。が、個人的には学生に臆面もなく告白しちゃうこの先生が結構いい味出していて好きですね。ちょっと山田詠美っぽいかんじ。

 短編にしてはすこし焦点がボケている感じがあるので、もうちょっとスッキリさせるか、逆に中編ぐらいまで全体をもっとボリュームアップしてもいいかな、という感じはします。役割を果たしていない道具立ては、たぶん語りきれていないだけなんじゃないかなぁという感じがするから、やるならボリュームアップのほうかな? すごく好きな路線なので、もっと他の作品も読んでみたいなと思いました。

 

 くすり。 「らくがき」

 うーん、この系統、佐藤ここのとかと同じ路線ではあるのですが、わりと危ういラインの上を全力で駆け抜けるギリギリのバランス感覚が要求されるので難しいものですね。この路線をやるならそれはそれで、なにかしらのトレーニングをする必要はありそうです。ただ、どういうトレーニングをすれば勘が身に着くのかは想像を絶しますね。頑張ってください。  

 勢いでまくし立てる系のお話嫌いじゃないです。しかし、くすり。さんから勢いでゴリ押しが繰り出されるとは。 レズっ気溢れるお話でとりあえず女の子たちが可愛いんだろうな、という感覚はあるのですが、ハピエン厨なのでオトすところまでゴリ押ししてほしかった気も。

 くすり。さんはコンチェルトのイメージが強かったので、一人称のまくしたてる型小説というのはちょっと新鮮でした。とはいえ、もともとの文章力の高さがあって、勢いでバリバリ書いていくのは落語の口上みたいで面白く読めました。明日香様とのやりとりがかわいくて好きです。 

 

 空色あまね 「毒薬とハーブティー

 上手いですね。ちょっとミステリ仕立て。死体安置所から死体を持ち出すなどのことを特に説明づけもなくホイホイやってのけているので、ミステリと呼べるほどカッチリとはしていませんが、動機に焦点を当てている感じなので、そこはそれほど致命的ではないでしょう。いわゆるワイダニット。ミス・スカーレットとサー・メルキオールの掛け合いがオシャレでとても気持ちが良いです。

 好きな作品です〜〜〜〜魔女の描写がすごく好き。違うんですけど西の魔女が死んだを思い出しました。はじめはサー・メルキオールが死神か何かか? なんて見当違いもいいとこな読みで読みました。ミステリ当たった試しがない。それまでは明快な進行だったからか、ネタバレシーンで一気にわかったようなわからなかったような調子になってしまったのがちょっと残念でした。もっと大胆に分かりやすいバレ表現でも良かったのかもしれません。

 このメルヘンな世界観すごく好きでした。王道少女小説っぽさがある……。すごく読みやすい文章で、題材もなんだかロマンチックでイラストにぴったりでした。筋立てはわりとざっくりしたファンタジーミステリなんですが、ラストが少々ぼかしすぎたかもと思ったのでしっかり書いちゃってもいいかもしれません。サー・メルキオールが長髪イケメンだと思う人は挙手をお願いします。 

 

 佐藤ここの 「先生はキャベツ畑生まれコウノトリ育ちって本当ですか?」

 勢い全力疾走スタイルの本家、佐藤ここの。今回も勢いで全力疾走してますが、謎にスルスルと読めてしまう不思議な文体の魅力は健在。ただ、毎度のことながらラストがブン投げ気味なところがあるので、物語としての丁寧な着地というか、もうちょっと読者に対する歩み寄りがあってもよいのでは? という気も。

 先生である「私」から語られる地の文がもう本当よくネタにされる女オタクかよってくらいテンションが高くて笑っていいのかわからないんですが笑いました。なんかもうやばい可愛い尊い〜〜!(←こういう感じ) ラスト畳み掛けの勢い240%!! 完!!! は嫌いじゃないんですがもうちょっとだけ手順踏んだ行程が見たいです。 

 一人称でぐいぐい読ませてくるタイプの小説ですが、最後綺麗にオチがついていてそこが非常にいいなと思いました。年の離れた義理の妹が教え子っていう、萌えシチュエーションですよね。百合はいいぞ!というつよい気持ちを感じました。

 

 ラブテスター 「引きこもりの恋」

 これすごくよかったです。ほぼ全編が膝にできた人面瘡との会話だけなので、話の構造としてはとても単純なのですが、それぞれのシーンに鬼気迫る描写力があってグッときます。先生が続々とやってくるシーンとか、個人的な経験もあって背筋がゾワゾワしました。非常に高い描写力と構成力を持っているようなので、もうひとまわり大きめの規模の物語にも挑戦してみてもらいたいです。 

 こちらのお話もね〜〜〜〜不気味さがいいアク出てて好きです。膝にできた人面瘡が自分を想っているなんてこと言って、もうなんかそれだけでめっちゃ気持ち悪くて怖いんですけどその瘡を巡って先生生徒たちが奇異の対象として自分を見る描写とか人間のそういうところ〜〜! 気持ち悪いアアアア〜〜!! という感じ。思春期だったり閉塞的な建物の中にいる人たちが一瞬で敵に変わる時の恐怖とかすごくリアルに描写されていて胃がドロドロかき混ぜられるような感覚になりました。……となったのにラストはなんとも小気味よく中高生向けの爽やかな了の仕方であるなあと感じました。不安はあれど未来に期待できる良い結末でした。

 人面瘡っていう言葉のもつちょっと尻込みするような印象とは別にして、お話はするする~とよくまとまっていて、読みやすかったです。人面瘡っていうのはひとつのメタファーで、思春期らしい混沌とした絶望感とか、世界との距離感とか、そういうものも描いてるのかなと思いました。部屋をでていくラストが特にすごくよくて、好きです!イラストにも合ってますし、実にティーン向けだなと思います。

 あとこれ、読後にカバーイラストを見ると膝にくちづけているようなポーズがなにか象徴的で、そこもまた想像を掻き立てられますね。

 

 千景 「小さな耳の小さな人形」

 童話風のほんわかとした文体がイラストの印象ととてもマッチしていて良いです。これはこれで完結なのかな? まだ連載中なのかな? 雰囲気小説っぽさはあるのでこれはこれでおしまいですよーと言われても納得できなくはないですが、ティルミーの作者の謎とかありますし、アレだったら続きも書いていってほしいなぁという感じ。

 ティルミーの語り口調で綴られていくのが大変いいですね。イラストとの相乗効果で絵本のような童話のような優しい雰囲気です。プレデアとケオルのやり取りをはじめてのおつかいを見るような心持ちでソワソワワクワクしながら読みました。物語の主軸はしかしどこになるのだろうと、少しぼけてしまっているのかなとも思いました。

 描写がこまやかでかわいらしいです。召使のお人形から見た日常という感じなのですがほのぼのしていて、一話完結型というか読み物としてはさらっとまとまっているのですが、まだまだ続きが読みたいです~。

 

 なかいでいくみ 「バタフライパンチ!」

 カクヨム現代アクションの雄(独自認定) ウサギ野郎の恋愛小説です。こういうのも書けるんだなぁと感心しました。やはり物語としての構成力に抜きんでたところがありますね。半面、このジャンルでの描写力とか表現力という点では、もうちょっと改善の余地というか、高められるところはまだありそう。とはいえ、苦手っぽいのははなから承知で真正面から挑んで来てくれたその心意気が素晴らしい。こういった経験も、きっとアクション小説を書く上で良いフィードバックがあることでしょう。リク君は、まあ普通にクズだと思うのでそこのところはどうなんでしょうか(?)

 面白かったです〜〜誰もが思うこの精神のまま過去をやり直したらもっとうまくやれるのに!をやってくださった!求めていたものがここに!!くらいの嬉しさがあります。やり直したい。 ハピエン厨の主人公に肩入れするマンなのでリク君の向こう見ずニート発言にちょっとパンチ入れたい感があります。

 過去に戻ってやりなおせたらと誰しも一度は思うもの、というお話で、現代異能バトル!というイメージからの新天地てきライトな恋愛ものなんですが、うさぎさんらしい軽妙な語り口とか妙にリアルなアラサーの価値観みたいなのの書き込みとかが気持ちよく、納得のボリュームです。というかボリュームある分しっかり作りこまれているといった方が正しいのかもしれない。ストレートに文句なく面白かったです!

 

 佐都はじめ 「幸せのベリーベリーショート」

 カクヨムファンタジーの超合金(独自認定) 佐都センセの恋愛小説です。イラストによくマッチした、ほんわかファンタジーな世界観と文体で、これもまた、こういう引き出しもあるんだなぁという新鮮な驚き。とは言っても、やはり設定厨の片鱗はあって、転生を繰り返しているから姉妹の年齢が入れ替わることもあるという独特な設定も。読んでから改めて表紙イラストを見ると、たしかに小さな子のほうがお姉さんっぽい表情で、大きい子のほうがヤンチャな印象なんですよね。なるほど、上手にイラストからイメージを膨らませてきたなあという感じ。

 いつまでも続く姉妹の時間の中で起こるひとつの大事件……。転生を繰り返すためある時は姉と妹の出生が入れ替わる、というのが面白いし、それがうまく作用して物語が進んでいくのがまた見事だなあと思いました。キュン要素で見ると、で!? 結局どうなっちゃったの!!? て求めちゃうところでしょうか。

 一見すると、閉鎖的な姉妹関係という若干メリーバッドエンドな要素もあるのですが、ちょっと童話っぽいテイストに仕上がっていて、あんまり悲壮な感じはないですね。ざっくりそぎ落とした感じなので、もっと肉付きがよくてもよかったのかな~とか思いました。

 

 津島沙霧 「戀の成り立ち」

 こいのなりたち、かな? わりとオーソドックスな恋のお話。戀という字は知らなかったんですけれど、なかなか面白い字面ですね。糸と糸の間に言が挟まっていて、こんがらがって絡まっているような印象。まだ全然、試しに書いてみた習作という感じなので、頑張ってもうすこし長さと分量のあるものも完結させてみてもらいたいです。

 気づかぬうちに好きになっちゃったりそれで関係こじれたりなんだりって本当に思春期特有のアレだよね〜〜!! という感想です。友達が語るキラキラした像の事を聞く内に自分もそのキラキラした像を好きになっちゃうとかもティーンエイジャーの心理そのものだと思うし、そこでハルカを押すエナは大人だなぁ。タイトルも秀逸でいいですね。 

 戀という字は、いとしいいとしいと言う心、とどこぞで見かけたことがありますが、この学生時代特有の複雑な関係性って名前のつけようがなく、したがって証明・認識のしようがない、みたいなところがあって、それこそキュンなんだと思うんですけど、そういうちょっとほろにがさも感じさせてくれました。欲をいうともっと長めの文章でも全然よかったのかな~と思います。具体的にカナタくんとエナちゃんのエピソードなども入っていると重みが増すかなと思いました。 

 

 あいこ 「ホワイトアウト

 「アザラシとライバル」のイラストも女の子はあいこ作なので、いちおうイラストと文の両方で参戦のハイブリッドファイターですね。ハイブリッドファイター3。うん、なんにせよ挑戦することは良いことだと思います。みんながワイワイやってるとついつい混じりたくなってしまうそのお祭り気質は良いですよ。どんどん気楽に軽薄にKUSO創作をしていこうな。とはいえ、もう少し時間的な余裕を持って行動するようにしたほうがいいです(辛辣)

 セミロングお姉さんとの妄想かと思ったらコーチか~~~~い!! 思春期特有の先生のことちょっと特別な目でみちゃうアレですよね。キュン!!! キュンキュン!!!! 話としてはまだまだ起の部分なので、いくらでも膨らます余地はあるかなっていうところどまり。

 目がくらむぞ!

 次いきます。

 

 ど 「あくまでも女の子」

 どスケベメスボディのどニキです。なんでしょうね、前のさきちゃんのシリーズでもそうでしたが、なんてことのない話なのに、なんだか読んでしまう不思議な魅力のある文体ではあります。単純に、このままのノリで物量で攻める作戦でも、それはそれでなにかしらの中毒性がありそう。とはいえ、いちおう小説大賞なので、オーソドックスな小説に要求される起承転結みたいなものを意識した物語にもそろそろ一度挑戦してもらいたい感じがあります。あと遅刻なのでゼロ点です。

 あーちゃんかわいい。かんわいいな〜あーちゃん! もうそれだけでいい感じがありますね。楽しいな〜〜! 魂も楽しさもゲットだぜ〜〜!! みたいな。なんですかね。底抜けに陽気な気分になりますね。良かったです。

 突然転がり込んできたあくまの女の子なんですがとにかく描写がかわいくて仕方がない。ほっぺたつんつんさせてほしい! させてほしい!! 内容としてはしょっぱなからバリバリウーマンが膝蹴りをくらわしたりして一筋縄ではいかないぞ~って感じなんだけど結構ゆるゆるに魂に王手かけられちゃったりして、文体とあいまってジェットコースター感のある、それでいて嫌な感じのないさらっとしたお話でした。描写が良いですよね。まあ…いっか~~! ていうのがわりとストンと落ちてくるのがすごい。あとほっぺたつんつんさせてほしいです。

 

 ゴム子 「美しい人」

 ええ……これ本当に40分クオリティなの……?世の中には強い人がいくらでも居るなぁという感じで謙虚にならなければならないと気持ちを新たにしたところ。

 面白かったです……この作品が40分で……!? 女性で美しい容姿であるということが通常ならば武器となるはずが呪いとして作用している女の子の話。母の死により一層強力になったプレッシャーを、叔父さんがゆるゆると解す描写がまた良かったです。歳の差〜〜〜〜!!! おじさん〜〜〜〜!!! 

 面白かったです。世界で一番美しい女である母が、死ぬことで完成させた呪いのような、それに縛られている主人公。引用で恐縮ですが、恩田陸の小説(麦の海に沈む果実)に「綺麗な女の子」に言及した一節がありまして、「僕の持論なんだけど、本当に綺麗な女の子って傷ついてると思うな」この言葉ぴったりだなあと思いました。書かれていないことではありますが、身内の叔父にとっては、美しくなければいけないという彼女の強迫観念は、それこそ姉の自縄自縛と同一のものとして、既に見えていたのかもしれませんね。

 とはいえ遅刻なのでゼロ点です(無慈悲)

 

大賞選考

 

 では続きまして、いよいよ大賞の選出にいきたいと思います。

 クロインは無視するとして、後は前回までと同様に、評議員それぞれに三つ推しの作品を出してもらって、その中から選出していくという形を取りたいと思います。

 まず僕の推し……なんですけど、実はまだ全然悩んでいて……。今回ほんとうに強い作品が多くて、三つを選ぶのすら難しい。

 わかる。

 わかる。クロインは無視するとして、正直、五つくらいでぐるんぐるんしてるのが現状です。

 僕の評点シートだと横並びになっているのが六人居るんですよね。なので、最終的にはほぼその場のフィーリングで選ぶ感じになってしまうんですけど。

 僕の推しは karedoさんの「I see your face before me (あなたの面影)」 と、空色あまねさんの「毒薬とハーブティー」、ユリ子さんの「リコリス」の三つでいきたいと思います。

 わたしこそまさに好みとフィーリングで申し訳ないんですが。

 ヒロマルさんの「雨と巡査とバス停と」、ユリ子さん「リコリス」、宇差岷亭日斗那名さん「終わった世界、花の海」、こちらの三つでお願いします。

 ウワ~~~めっちゃ迷いました。クロインは無視するとして。

 私はkaredoさん 「I see your face before me (あなたの面影)」、ヒロマルさん「雨と巡査とバス停と」、左安倍虎さん「聖紋の花姫」です。

 割れましたね~。

 得票ではkaredoさん、ヒロマルさん、ユリ子さんがそれぞれ二票で一歩リードという感じですが、僕の評点シートだと、他にラブテスターさんの「引きこもりの恋」、なかいでいくみさんの「バタフライパンチ」、こむらさきさんの「不思議な頭のお隣さん」」も並んでいるんですよね。

 karedoさんの「I see your face before me」についてはほんとに迷って、ただわたしがひいおばあちゃんの生き方に引っ張られすぎて選べなかっただけなので票については異論ない感じですね。他迷ったのは「引きこもりの恋」です。

 引きこもりの恋とバタフライパンチに関してはわたしも横並びで推しでした。ケダモノの女王と空を泳ぐ鳥も個人的にはすごく推したかった……。

 ラブテスターさんとこむらさきさんは、やっぱりまだ経験が浅いのか粗削りな部分があって、競ると完成度の部分で一歩差が出てしまう感じがあるのですが、エモさでは全然負けてないので、これからに期待したいですね。

 私の推し三つも、完成度という点でまとまってるものを選んでいる気がします。

 わたしはメディエータ推しだ……。

 メディエータよかったですよね。ぜひ続編も書いて次回モノホン大賞を狙って頂きたい。

 イケメン〜〜〜〜きちんと作中で絵の回収もしていてほんとによい よかった…続きが読みたい……。

 この流れだと、大賞はkaredoさんかヒロマルさんって感じかな。

 ですね~。このふたつめっちゃ迷うな……。

 わかる…迷う……。

 二作品に対して評議員三人だから投票すれば決まるね。

 投票いいと思います。

 心を決めてせーので投票しましょう。いいですか? せーの!

 karedoさん!

 ヒロマルさん!

 ヒロマルさん!

 わー!

 おお~~~~~。

 決まり……ですかね?

 というわけで、第四回本物川小説大賞 第一次トルタ侵攻、大賞はヒロマルさんの「雨と巡査とバス停と」に決定しました! おめでとうございます!!

 ぱちぱち! おめでとうございます!

 おめでとうございます!

 あと金賞一本、銀賞二本なんですけど、これは流れてきには金賞がkaredoさん、銀賞がユリ子さんは決まりですかね?

 異論ないですね。

 異議なしです!

 じゃあ、あと銀賞一本を決める感じなんですけど、得票一票ずつが「毒薬とハーブティー」「聖紋の歌姫」「終わった世界、花の海」の三つ。

 (次点で名前が挙がっているのも含めると、一応「引きこもりの恋」が三票、「バタフライパンチ」が二票ありますけど)←ヒソヒソ

 (収拾つかなくなるので、選考はこの中からやりません?)←ヒソヒソ

 (かしこまり)←ヒソヒソ

 (運要素が強くなってしまうのはそうなんだけど、運要素でいかないとなかなか決めるの難しいから、ぶっちゃけ運ですね)←ヒソヒソ

 (承知した)←ヒソヒソ

 (となるとハーブティーか花の海になるかな)←ヒソヒソ

 (でも完成度って話では聖紋の花姫が一歩抜けてるよね。ただ、その完成度が足かせになって、逆にエモさでひと押し足りない感じもあって)←ヒソヒソ

 (わかります)(わかる)

 (わかる~~)

 (この三つなら毒薬とハーブティーを推したい。リリカルでかわいい(?))

 (毒薬とハーブティーは読後の綺麗サッパリ感ではちょっと弱くて、うん? って気になっちゃうところもあるんだけれど、それを差し引いても小粋でオシャレ)

 (エモさ観点で言うとア~~~~~迷うけど花の海推したい)

 (たしかに毒薬とハーブティーもそんなにエモくはないですね)

 (花の海、ラストがいいよね~~)

 (僕も花の海のラストすごい好き。あの最後がなければわりと凡庸だったと思うんだけど、あのたった三行でこんなに物語の印象って変わるのかっていう驚きがある)

 (そうなんですよね~~ただラストだけと言っちゃうとアレだけど、どこを推すかと言えばラストなので)

 (毒薬とハーブティーは、なんていうか、大人っぽくて、でも本当に大人向けっていうよりは、ティーンが憧れる大人っぽさみたいな……)←虚空を手で探る

 (わかる)(毒薬とハーブティーの世界観の構築の仕方とか望みすぎず〜な感じとかめちゃ美しくて好き)

 (投票しますか。花の海か毒薬かで)

 (しましょうか)

 ンン~~~~!はい!

 せーの!

 毒薬とハーブティー

 毒薬とハーブティー

 終わった世界、花の海……。

 わー!

 わー!! 決まった!! おめでとうございます!!

 パチパチ! おめでとうございます!! 大接戦でした……。

 うーん、これまで以上に大混戦。全体的なレベルの高まりを感じました。

 あと、副賞の件なんですけど、これまでは本物川さんひとりがイラストを描いていたのですが、せっかくの機会なので今回は闇の評議会三名による合作イラストにしようかと思っていまして。

 (闇とは……謎とは……)はい。

 イエーイ! たのしそう。

 雨と巡査とバス停は、メインの登場人物が堀田巡査とサヤカちゃんのふたりなので、どう分担しましょうかね。

 バケツ描きます。

 笑う。

 バケツかぁ……。

 

 (ヒソヒソ話)

 

 じゃあそんな段取りで、だいたい7月上旬をメドに完成させたいと思いますのでよろしくお願いします。

 かしこまりました とりあえずラフができしだいあいさんに投げるね!

 あいこもおそらく大丈夫です。

 それでは闇の評議会、これにて解散です! おつかれさまでした~! 撤収!!

 てっしゅー! おつかれさまです!

 おつかれさまでした~~~!!

 

 

第四回本物川小説大賞 -第一次トルタ侵攻計画- 参加表明用まとめ - Togetterまとめ